「すごくいい 画期的」水族館で客が値段を決めるポストプライシング制度導入 客数5倍 売上2.5倍でサービス向上=静岡市

静岡県静岡市の街中の水族館が5月7日から、客が満足度に応じて支払う料金を決める「ポストプライシング制度」を本格導入しました。赤字覚悟とも言えそうな取り組みですが、施設側にも様々なメリットがありました。

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「松坂屋静岡店」の中にある「スマートアクアリウム静岡」。約150種類の魚などを展示する都市型水族館が新しい取り組みを始めました。

<滝澤悠希アナウンサー>
「この水族館では、きょうから客自身が料金を決めるシステムを導入しました。退館前に、この紙に支払う金額を記入します」

導入したのは、客がサービスの体験後に満足度に応じて支払う料金を自ら決める「ポストプライシング」。この水族館の従来の設定料金は1400円ですが、平日限定の「ポストプライシング」では価格を0円から設定できます。2024年2月と3月の試験導入を経て取り入れましたが、「赤字」の心配はないのでしょうか?

<スマートアクアリウム静岡 真野光晃館長>
「(試験期間は)去年の平日同期比で、お客様の数と売り上げが伸びた」

この水族館では、ポストプライシングを試験導入した期間の客数が2023年のおよそ5倍に。従来の設定料金より低い金額を支払う人が多かったものの、売り上げは2.5倍になりました。

さらに、別の効果もありました。

<滝澤悠希アナウンサー>
「このコーナー、100円でエサが購入できるんですが、新しく設けられたカメのエサやりコーナーです。ポストプライシングをきっかけに新しくできたコーナーです」

ポストプライシングの試験期間中、金額の記入に続けて、施設の感想などを聞くアンケートに回答する客が大幅に増えました。アンケートを参考に「えさやり体験」を始めたほか、館内の図鑑を増やしたり、暗くて見えにくかった説明パネルにデジタルモニターを導入したりとサービスの向上につなげました。

<客(金額を1000円に設定)>
「すごくいい。画期的。こういうところが増えたらいい」

<客(金額を1500円に設定)>
「標準的な値段が書かれていれば、それに比べてもっといい思いをしたとか、ちょっと足りないと判断できるので、標準的な値段が書かれていればいい」

<スマートアクアリウム静岡 真野光晃館長>
「満足度を高めて、お客さんにお支払いをいただいて、それで展示に新しいものができていくので、そのあたりを踏まえて(値段を)考えてほしい」

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