井上尚弥がオイルマネーになびけばファイトマネーは100億円超か 悪童ネリ戦は日本人最高10億円

井上尚弥(C)共同通信社

“モンスター”が“悪童”をマットに沈めた。

6日に行われたボクシング世界スーパーバンタム級4団体統一王者、井上尚弥(31)の初防衛戦。対戦相手のルイス・ネリ(29)は問題児として知られ、体重を超過した試合で山中慎介をKOし、引退に追い込んだ過去もある。

英国のブックメーカーのオッズでは井上の1.06倍に対し、ネリは8倍。井上が圧倒的有利と思えた一戦は、1Rの井上のダウンで衝撃の幕を開けた。井上がダウンを喫するのはプロ初。それでも2Rにダウンを奪い返すと、5Rにはネリから2度目のダウンを奪い、6Rに右ストレートでトドメを刺した。

「1Rでのサプライズ、たまにはいかがでしょうか!」

と、試合後にジョークを飛ばした井上。次戦は9月に18戦無敗のサム・グッドマンと2度目の防衛戦を行うことを、リング上で明かした。

そんなモンスターの招致に鼻息が荒いのが、オイルマネーで潤うサウジアラビアだ。井上をプロモートするトップランク社のボブ・アラムCEOは4日の会見で、あくまで日本開催が中心と言いながらも、「年内にサウジからオファーがあるかもしれない」と話していた。

昨年12月のタパレス戦後、アラムCEOは同国スポーツ大臣で王族の一員でもあるターキ・アルファザン氏と会談。その際、「最初に言われたのが、『サウジで井上の試合をできないか』だった」と明かしており、井上が所属する大橋ジムの大橋会長も「(サウジは)興行規模のケタが違う」とまんざらでもない様子だった。

5月にサウジで予定されているヘビー級のフューリーvsウシク戦のファイトマネーは、ボクシング史上最高額の総額500億円規模というのだから、井上陣営がグラリとなるのも当然だろう。

ネリ戦の井上のファイトマネーは日本人ボクサーとして史上最高額の10億円。この日の会場も、ボクシングの試合としては1990年のマイク・タイソン以来、34年ぶりとなる東京ドーム開催。22万円の最高額チケットも即座に完売した。

この日は米スポーツ専門局「ESPN」、英国の衛星放送局「Sky Sport」で生中継されるなど、世界中でその知名度を広げている。サウジのオイルマネーをバックにすれば、ファイトマネーは今回の10倍以上になると予想する関係者もいる。日本ボクシング界が誇るモンスターは、稼ぎの面でもモンスターになりつつある。

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