定年退職までに「完済予定だった」住宅ローンが残りそうです…60歳過ぎて「住宅ローン」を支払うのは普通ですか?

60歳を過ぎても住宅ローンを支払っている人は15.1%

内閣府は一般高齢者の経済生活に関する意識調査のため、全国の60歳以上の男女(有効回収数1755人)を対象にアンケートを行いました。同アンケートによると、回答者の住居形態は表1の通りです。

表1

※内閣府「令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果(全体版)」を基に筆者作成

有効回答のうち90.7%にあたる1592人は持ち家に住んでいました。また、そのうち15.1%(265人)は住宅ローンを返済中でした。60歳以上の高齢者の場合、約6.6人に1人が住宅ローンを完済していない計算です。

65歳以上で「住宅ローン返済中」の人も少なくない

同アンケートの有効回答者のうち、65歳以上の人は1497人(男性727人、女性770人)でした(全体の85.3%)。

仮に「住宅ローン返済中」と回答した265人のうち、85.3%が65歳以上だとすると、回答者は約226人(全体の約12.9%)です。その場合、約7.8人に1人が完済していない計算となります。

60歳以上、65歳以上どちらの場合も、住宅ローンを払い続けている人は少なくないようです。

退職後も住宅ローンを返済する場合は働く必要がある?

退職後も住宅ローンの返済が続く場合、返済資金確保のために就業する必要性を感じるかもしれません。同じアンケートで就業状況を調べたところ、「収入のある仕事をしている」と回答した人は全体の37.3%いました。また就業中の人のうち、住宅ローン返済中の人と返済なしの人を比較すると表2の通りです。

表2

※内閣府「令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果(全体版)」を基に筆者作成

住宅ローン返済中の高齢者の方が就業している割合が14.4%高いです。

住宅ローン返済の目的で就業しているとは限りませんが、ローン支出をカバーするために働いている人も一定数いる可能性があります。実際、住宅ローン返済中の高齢者のうち、34.3%は「過去1年間の大きな支出項目」について「家賃、住宅ローン等」と回答しました。

60歳以上でも住宅ローン返済が続くケースは少なくない

60歳以上の高齢者でも、住宅ローンを返済中の人は少なからずいます。

その中には、定年退職前にローン完済するつもりだった人もいれば、もともと退職後にも返済を続けるつもりだった人もいるかもしれません。

いずれにしても、住宅の購入費用は一般的に大きな額であるため、計画通りに繰り上げ返済をしていくことは必ずしも容易ではないでしょう。

出典

内閣府 令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果(全体版) 第1章 調査の目的及び方法等 2.調査の仕様 (8)有効回収数(2ページ)、3.調査対象者の基本属性 (5)住居形態(F5)(9ページ)
内閣府 令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果(全体版) 第2章 調査結果の概要 2.仕事に関する事項 (2)就業状況(Q5)(24ページ、25ページ)、3.経済的な暮らし向きに関する事項 (6)過去1年間の大きな支出項目(Q10)(55ページ)

筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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