ひっそり行われている関東大学リーグ戦には楽しみな「原石」がゴロゴロしている【羽川豊の視点 Weekly Watch】

中日クラウンズでプロ初Vの米沢は東北福祉大OB(C)共同通信社

正月の風物詩として人気の箱根大学駅伝は、関東学生陸上競技連盟の最大イベントですが、関東学生ゴルフ連盟主催の競技会が脚光を浴びることはほとんどありません。

5月5日から2日間、今年度の関東大学春季Aブロック対抗戦(春のリーグ戦=茨城・サザンヤードCC)が行われ、私が指導する専大は4位でした。

今の大学生は飛距離ではプロに負けませんし、天候さえ良ければ「65」「66」という爆発的スコアも出します。

近年、国内の男子ツアーで活躍している選手の多くは、この関東リーグ戦を経験しています。今年の開幕戦に勝った金谷拓実(25=東北福祉大)、次戦の欧州・日本どっちが勝つかトーナメントを制した桂川有人(25=日大)、先週の中日クラウンズでプロ初優勝を遂げた米沢蓮(24=東北福祉大)、米ツアーのバイロン・ネルソン9位の蝉川泰果(23=東北福祉大)、今年欧州ツアーで優勝した星野陸也(27=日大中退)や中島啓太(23=日体大)もそうです。彼らがその背中を追いかける松山英樹(32=東北福祉大)が出ていたときも私は見ています。

昨年のダンロップフェニックスで頂点に立った杉浦悠太(22=日大)も1年時から知っていますが、今の大学生の成長スピードの速さには本当に驚かされます。松山、金谷、中島、蝉川、杉浦はアマ時代にプロのレギュラーツアーを制しました。下部のABEMAツアーを含めて、大学生がプロに勝つことは珍しい時代ではなくなったのです。

みんなファイナルクオリファイングトーナメント(QT)を経て、プロの試合に出たいと腕を磨き、推薦で出場した試合では本気で優勝を狙っています。大学時代に戦った仲間や先輩が並みいるプロを負かしたり、卒業して2、3年で海外ツアーの優勝トロフィーを掲げる姿を見れば、「俺だって」と思うのは当然でしょう。4年生のキャプテンと文学部英文科に通う3年生の教え子も世界を見据えています。

人気低迷が叫ばれて久しい国内の男子ツアーですが、欧米ツアー参戦を夢見るだけでなく、高い意識で、短期間に力をつけ、未来へ羽ばたく準備をしている学生を間近で見ているので大いなる希望を持っています。世界で活躍する日本選手が実力だけでなく、メジャーリーガーの大谷翔平選手のような人間的魅力も身につければ、男子ゴルフ界には必ず熱気が戻るはずです。彼らが夢を実現するためのお手伝いをしている今、楽しくて仕方がありません。

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本文中にもあるように、国内男子ツアーの人気は低迷している。日程は虫食い状態で録画放送がはびこり、コースは低レベル。そんな事態を招いた「元凶」について、●関連記事【もっと読む】…で詳しく報じている。

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