快活なミツバチたち(5月8日)

 昭和の東京五輪は、スポーツの在り方を大きく変えた。「運動部は会社のイメージを高める」と、企業が運営に力を入れ始める。代表格は「東洋の魔女」の異名を取った女子バレーだ▼令和の今から見れば、隔世の感がある。鬼と評された監督から猛特訓を受ける。メンバーの多くは大阪府にある紡績会社の選手だった。強豪ソビエトを破り、戦後復興の歩みを進める国民を鼓舞した。県内でもかつて、ハンドボールやソフトボール、サッカーなど企業に所属するチームが次々に生まれた。1995(平成7)年の「ふくしま国体」総合優勝の原動力となり、県民を勇気づけた記憶は色あせない▼郡山市にデンソー女子バレーボール部「福島デンソーエアリービーズ」がやってくる。女子団体競技のチームが本県に本拠地を置くのは久しぶりだ。「スポーツの力で復興を後押しし、地域の連帯を生みたい」と関係者は意気込む▼「快活なミツバチたち」のチームの名の通り、福島の地で軽やかに羽を広げて。そのために、応援という「養分」をミツバチと化す選手に届けたい。目の前に絶好のトスが上がった。さあ、アタックを決めよう。福島チャチャチャの声援が響く。<2024.5・8>

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