熊本県は2016年6月に県庁敷地内に設けた県内初の水素ステーションを撤去する。脱炭素社会の実現に向け、公用車の燃料電池車(FCV)が利用していたが、5月末で耐用年数を迎える。導入や維持管理などの費用は8年間で2億円を超えた。
水素ステーションは、国の補助を受け1億6千万円で県庁東門そばに設置した。ホンダ(東京)と岩谷産業(大阪市)が共同開発した小型のステーションで、実証実験用として公用車のみが利用してきた。
県エネルギー政策課によると、ホンダがすでに交換部品を製造していないことや、岩谷産業が一般向けの水素ステーションを熊本市南区に整備したことなどから撤去を決めた。撤去費用は800万円。ほかに定期点検などで4千万円以上の経費がかかった。
県の燃料電池車はトヨタの「MIRAI(ミライ)」1台のみで、燃料電池車の普及啓発事業などで活用している。ミライのリース契約は25年3月までで契約の延長は未定という。
県エネルギー政策課の担当者は「低炭素社会の実現に向けた啓発活動は今後も続ける」としている。(小山智史)