宮城の海に異変!?(2) 女川で捕獲“悪魔のサメ” 専門家は…

西日本を中心に水揚げされる魚が、いま次々と宮城県内の漁場に姿を現しています。宮城の海にいないはずの魚は他にも…。

記者リポート
「こちらに奇妙な生き物が展示されているということですがおぉ~、鋭い歯に薄ピンク色の肌この生き物は一体何なんでしょうか」

恐ろしい見た目をしたこちらの生き物。その姿から「悪魔のサメ」とも呼ばれる「ミツクリザメ」です。普段は深海に生息しており、頭から突き出た器官で生き物の微弱な電流を感知。餌となる魚やエビを探すそうです。

4月、女川沖の底引き網から見つかり、宮城県内で初めて捕獲されました。これまでは2016年に見つかった茨城県沖がミツクリザメの北限と考えられていました。

仙台うみの杜水族館 大谷明範さん
「ミツクリザメは世界中の海にいると推測されているが、捕獲例は非常に少なく、年に数回出会えるか出会えないかという、サメ北限域が茨城県沖と考えられていたので、宮城県で見られるのは非常にまれ」

女川で見つかった深海のサメから、気仙沼で大量に揚がるマダイまで、共通しているのは、南の海域に生息している魚ということです。なぜ宮城の海まで北上してきているのでしょう?漁場の環境などを調査している、県水産技術総合センターの伊藤研究員です。

県水産技術総合センター 伊藤博上席主任研究員
「2016年くらいから、寒流の親潮が南の方に下がってこなくなっている。2017年くらいから逆に暖流の黒潮が西の方で大蛇行の現象を起こしており、通常より北の方まで暖流の黒潮の影響が及んでいる。この2つの状況が合わさり、宮城県沖は水温が高くなっています」

暖かい海水が流れ込んできているのが原因ということですが…。その影響で、暖かい海域に生息する魚が、県内で次々と確認されているんです。主な例を4種類…。こうした魚が去年だけで20種類以上、初めて見つかったそうです。

水産技術総合センターの伊藤さんによりますと、「暖かい海水が流れ込んでくる状況は、今後変わる可能性もありますが、このまま続けば、冷たい海に生息する魚のとれる量はどんどん減っていく」と話しています。今後の影響が気になります。

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