ソフトバンクどすこい山川穂高が2戦連続弾より喜んだ“愛弟子”砂川リチャードの「四球」

どすこい!(C)共同通信社

大相撲5月場所は12日初日だが、こちらの「どすこい」も勢いが止まらない。

7日、ソフトバンクの山川穂高(32)が2戦連続となる9号ソロをかっ飛ばした。

先頭打者の四回、日本ハム先発の山崎が投じたスライダーをしっかり惹きつけて強振。打球は逆方向にグングン伸び、右翼テラスへ飛び込む同点ソロ弾。ダイヤモンドを回り、お馴染みの「どすこい」ポーズでスタンドを沸かせた。

そんな山川が我が事以上に喜んだのが、同じ回の砂川リチャード(24)の打席である。カウント3-2と追い込まれると、6球目の外寄りのチェンジアップをファールでカットすると、7球目の低め直球を見送り、四球を選んだ。

これにはベンチの山川も両手を叩いて祝福。この四球はただの四球ではない。春のキャンプで師弟として二人三脚で取り組んできた練習の成果でもあるからだ。

リチャードは同じ沖縄出身の山川を師匠と仰ぎ、山川もまたリチャードを愛弟子として指導している。オフには何度も合同自主トレを行い、山川がソフトバンクに移籍すると、キャンプでも一緒に行動する姿が目立った。

キャンプ地でのある日、2人は全体練習後に室内練習場にこもり、ピッチングマシーンで延々と打撃練習をしていた。といっても、ヒットやホームランを打つのが目的ではない。「くさいボールをカットする技術」を、山川がリチャードに教えていたのだ。

なかなかカットできないリチャードに、山川は「こうやるんだよ」と、実演。タイミングを取りながら、いとも簡単にマシンの球をカットする師匠の姿を、弟子は食い入るように見ていた。

コツを教わったリチャードは何回か繰り返し、ようやく成功すると、満面の笑みで「できた!」と大喜び。その後も打球をカットするたび、「できた!」「できた!」と興奮していた。

そんな二人三脚の成果が実戦で表れたのだから、師匠が祝福するのも当然だろう。

もともと、リチャードは2ストライク後の打撃が課題といわれていた。これまではヒット狙いに切り替えて三振や凡打、というケースが多かったが、くさいボールをカットする技術に磨きをかければ、その分、甘い球を捉えるチャンスは増える。

この日は延長十二回にヒットを放ち、周東のサヨナラ犠飛につなげたリチャード。師匠の指導で覚醒となればいいが。

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