朝熊第二組立工場を新設 伊勢の木材加工機械「鈴工」 三重

【新設された組立工場=伊勢市朝熊町の鈴工朝熊工場で】

 【伊勢】木材加工機械の製造販売を手がける鈴工(三重県伊勢市大湊町)は、同社朝熊工場(同市朝熊町)敷地内に、大型機械の受注に対応する新工場「朝熊第二組立工場」を建設した。

 同社は、昭和54年に創業。木材加工工場向けに、木材の加工搬送機械の設計から、製造、組み立て、配線まで一環して手がける機械メーカーとして、国内トップシェアを誇る。近年は、循環型社会や脱炭素社会の実現に向けた取り組みとして、木材の利用や木造建築の普及に向けた活動にも力を入れている。

 新工場は、鉄骨2階建て、延べ面積3200平方メートル。1階の機械組み立てスペースは縦64メートル、横30メートル、高さ11メートル。天井走行クレーン4基を備えた。スペース横には、部品を保管する立体自動倉庫を導入。部品の出し入れや在庫管理をシステム化し、作業効率の向上を図る。近年、木材加工機械が大型化。新工場の完成により、従来の工場では対応しきれなかった大規模な機械の製造が可能になるという。5月中旬ごろ稼働予定。

 同社によると、脱炭素やSDGs(持続可能な開発目標)への関心の高まりから、建設時にCO2の排出量が少ない木材を、住宅以外の大型建築物に使うことが増えつつある。複数の木材を重ねて接着することで強度や耐火性を備えた新しい木質素材「CLT(直交集成板)」などの開発が進んだことから、今まで木材が使われていなかった高層階の大型建築物の建設が可能に。そのため、大型木材を加工する大型機械設備が必要とされるという。

 牛場正人社長(55)は「木材産業は、世界でも注目される産業。大きな受注に対応するため生産体制を整えた。環境への意識が高まる中、木材の需要を増やすことで、循環型社会の実現に貢献したい」と話していた。

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