【解説】160万人が熱狂!マドンナさんがブラジルで無料ライブ開催 しかし“約3億円”の税金支援で批判も噴出

ブラジルで4日、世界的歌姫・マドンナさんがライブを開催し、160万人が熱狂した。
このライブは、ブラジル政府や民間企業がスポンサーとなっており、入場は無料となっていたが、一部では費用に税金が充てられたことに対して、疑問視する声も上がっている。

40周年ツアーを締めくくる

4日、世界的歌姫・マドンナさんがブラジルで無料ライブを開催し、160万人が熱狂した。

マドンナさん(65)のデビュー40周年を記念したワールド・ツアー「ザ・セレブレーション・ツアー」の最終公演がブラジル・リオデジャネイロで行われ、熱烈な歓迎を受けた。

リオデジャネイロの州政府と市政府、民間企業がスポンサーを務めているため入場は無料で、160万人もの人が集まり、3000人以上の警察官が配置され、開演前から大きなにぎわいを見せた。

会場のビーチは、身動きが取れない状態になるほどの人だかりで、ボートを出し、海からコンサートを楽しむ人の姿もあった。
マドンナさんは2時間以上にわたり歌声を届け、40周年ツアーを締めくくった。

160万人の地鳴りのような声が鳴り響く

コンサート会場には、160万人の声で「Like A Virgin」が地鳴りのように鳴り響いたといい、ブラジルの方は、音楽好き・ダンス好きということで、現地はすごいことになっていた。

コンサート前から、リオの街はまるでカーニバルのような盛り上がりを見せ、ライブ会場のコパカバーナビーチでは、急ピッチで会場の建設が行われていた。

そして4月30日、マドンナさんが到着した際には、宿泊先の超高級ホテルに多くのリオ市民が集まった。

ファンは「いつも驚かせてくれて楽しみ!歴史的なショーだ!」とコメント。
「マドンナー」と言いながら踊っていたファンの女性は、若かったころのマドンナさんの代名詞ともいえる衣装のコスプレをしていて、興奮が抑えられない様子だった。

コンサート当日は、160万人が集結。
マドンナさんは黒いドレスに身を包み、ステージに登場した。

最初の1曲目「Nothing Really Matters」から盛り上がりは最高潮になり、ステージは2時間以上に及び、デビュー当初からのヒット曲が次々と披露された。

総額“18億円”…コンサートに巨額の支出

この規模で無料で行われたということだが、批判もあった。

無料のコンサートにかかった総額は、現地メディアによると約18億円。

実はこのコンサート、ブラジルの大手銀行であるイタウ銀行がメインのスポンサーとなっていて、イタウ銀行はマドンナさんを広告にも起用しており、今回の無料コンサートも宣伝効果を狙ったものとみられる。

その広告動画の中で、マドンナさんは「私は自分に投資してきた」と話している。

マドンナさんに支払われた出演料は、地元メディアによると約5億円になり、大きなビジネスとなっている。
さらにリオデジャネイロ州政府も、約3億円を支援したという。

この3億円の原資は“税金”で、「マドンナのコンサートになぜ巨額の支出をするのか」と疑問視する声も市民から上がっている。

SNSには「最悪のインフラを改善するために税金を使ってください」、「リオ市民は、安全や教育のために税金を払っている」などの批判的な声もある。

これに対し、リオデジャネイロ市は、巨額のお金を払った代わりに、ブラジル中、また世界各国から多くのファンが集まったため、ホテルやレストランなどは、91億円の経済効果があったとして批判に反論している。

また、リオのエドアルド・パエス市長は、世界中のメディアがこのコンサートを取り上げた記事を紹介しながら、「わかりますか!? リオは世界から求められている。私を市長にしてくれてありがとう」とSNSでコメントし、宣伝効果もアピールしている。

しかし、批判の理由はそこだけではない。

リオでは2024年10月に市長選を控えているため、再戦するための人気取りにマドンナコンサートを利用したのでは、と指摘する声も出ている。

コンサート自体は素晴らしかったと思うが、やはり巨額のお金が動くビジネスとなると、さまざまな思惑もあるのかもしれない。

1969年のウッドストックフェスティバルなど、かつてフリーコンサートといえば、反戦や平和といった政治的なメッセージの色合いも濃かったが、無料コンサートも今や巨大なビジネスになっているという印象だ。
(「イット!」 5月7日放送より)

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