千葉市の5歳児が発見 真っ赤なバッタ捕まえた! 専門家「見たことない色」 【ちば特 千葉日報特報部】

虫かごにいる真っ赤なバッタを見つめる月陽ちゃん=千葉市若葉区

 「赤いバッタを発見し、捕獲しました」。4月上旬、5歳の息子が珍しいバッタを捕まえたとのメールが双方向型調査企画「ちば特(千葉日報特報部)」に寄せられた。添付された写真を見ると真っ赤なバッタの姿が。赤いバッタを見るのは記者も初めて。なぜ、このような色になったのか。情報提供者と昆虫に詳しい専門家を訪ねた。(「ちば特」取材班 町香菜美)

◆自宅の庭に現れ

 バッタを捕まえたのは千葉市若葉区の池野桃子さん(31)の長男、月陽(つきひ)ちゃん(5)。記者が訪ねると、弟2人と桃子さんとともに捕まえたバッタをみせてくれた。虫かごの中にいたのは、ペンキをかぶったかのような驚くほど鮮明な赤色のバッタ。体長は約5センチで、元気いっぱいに跳ねていた。

 幼稚園が春休みだった月陽ちゃんは、4月3日午前9時40分ごろ、自宅の庭で家族と遊んでいた。すると突然、マンホールの上に真っ赤なバッタが現れた。「ママ! 赤いバッタがいる」。叫んで知らせると、実物を見て驚いた桃子さんが急いで家の中に戻り、台所にあったザルを持ち出してバッタの上からかぶせ「捕獲」した。その後、近くのディスカウント店で虫かごを購入し、畑仕事をしていた男性に手伝ってもらいながら捕まえることができたという。

 月陽ちゃんは「(真っ赤で)びっくりした。足に吸盤みたいなものが付いていて、ジャンプがすごいところがかっこいい」と目を輝かせる。桃子さんは「新種かもしれないと考えて思わず捕まえた。家族で『バッタちゃん』と呼んでかわいがり、息子も友だちにみせてうれしそうにしています」と話す。餌になる植物は月陽ちゃんが進んで採取し、霧吹きで水をかけてバッタに与えているという。

◆正体は「ツチイナゴ」

 通常バッタと言えば緑か茶色だが、この赤いバッタの正体は?

 県立中央博物館で昆虫分類学を専門とする樽宗一朗研究員によると、「ツチイナゴ」の成虫だという。赤色の理由は「通常は色素が茶色になるが、突然変異で赤色になった可能性がある」と教えてくれた。

 同館には年間に7~8件ほど、赤色や黒色のバッタを発見したとの連絡が寄せられるが、「これだけ全体的に鮮やかな赤色をしたツチイナゴは見たことがない」と説明する。樽研究員は「1回飼育しようと決めたものは、最後まで見届けてもらえれば」と話し、月陽ちゃんは大切に育てていく予定だという。

庭で見つけた際に撮影した真っ赤なバッタの写真(桃子さん提供)

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