農協施設からのリンゴ盗難被害 6万1300箱、2.2億円に つがる弘前農協(青森県)が説明

記者会見で謝罪する天内組合長=7日午後6時50分ごろ、弘前市のつがる弘前農協本店

 青森県弘前市悪戸のつがる弘前農協河東地区りんご施設で昨年6月に発覚したリンゴ盗難事件を巡り、同農協は7日、本店で各区域の総代長を集めた臨時会議を開き、第三者委員会がまとめた被害の全容を説明した。同農協の元従業員3人を含む実行犯5人が与えた被害額は総額2億2467万円で、数量は約6万1300箱(1箱10キロ)となった。被害対象となる組合員は3千人を超え、農協側が肩代わりする形で賠償金を支払う方針。事件の責任を取り、同農協の役員26人全員が報酬の3割を3カ月間自主返納する。

 同農協によると、元従業員らは2020年2月ごろから23年6月9日までの間、計280回にわたり、同施設にあったリンゴを盗んだ。今回明らかになった被害額は、昨年の刑事裁判で検察側が明らかにした、当初の農協の試算額(1億4千万円)を約8460万円上回った。第三者委による元従業員らからの聞き取りなどで、明らかになった。天内正博組合長は7日の会見で「早ければ5月中にも5人に対する損害賠償請求訴訟を提起する」と述べた。5人からの被害弁償額は7日時点で計約1800万円。

 一方、同農協は自主財源を使い、組合員に対する賠償金の支払いを早ければ今月末から始める。14日には全組合員を対象とした説明会を河東、岩木、前坂、長峰の計4施設で開く。役員の責任については、報酬の自主返納のほか、「複数人に対し規則に従った処分をした」(同農協の担当者)としたが、個人の特定につながるとし、処分内容や人数は明らかにしなかった。

 同農協は再発防止策として、犯行現場となった河東地区りんご施設に防犯カメラを設置、今年秋から在庫管理をデジタル化する。

 天内組合長は会見で「過去に例を見ない被害数量。組合員の皆さまに多大なご迷惑をおかけした」と謝罪した。

 第三者委は竹中孝弁護士、鍋嶋正明弁護士の2人で構成。昨年12月から今年4月まで調査し、4月25日に同農協に最終報告書を提出した。

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