【リフォーム実例】60代からの住まいの整え方 刺繍デザイナー 青木和子さんのキッチン・リビング・洗面室【後編】

60代をいきいきと過ごすには「住まい」がとても重要です。『60代からの小さくて明るい暮らし』(主婦の友社)から、自分らしい快適空間を手に入れるヒントになる、刺繍デザイナー 青木和子さんのリフォーム実例を2回に分けて紹介します。後編は、キッチン、リビング&ダイニング、洗面室、アトリエの実例です。

★前編はこちら★

PROFILE
刺繍デザイナー
青木和子さん(70歳)
千葉県在住。美大卒業後、会社勤務やスウェーデン留学を経てアトリエを主宰。素朴で可憐な草花の刺繍が大人気に。『青木和子の小さな刺しゅうの旅』(日本ヴォーグ社)など著書多数。2人の子どもは独立し、夫&愛猫と暮らす。

Kitchen

青木さんがリフォームで重視したのが素材感。
さらに、「豪華さや贅沢さは感じられなくていいけれど、クオリティの高いものを使いたいと思いました」。

キッチンは、天板、扉材、タイル……と、素材ごとに異なる「白」の調整が大変だったとか。
ガスコンロは、クラフト感のある全面五徳の製品をチョイス。
天板はクォーツストーン製。一般的な人工大理石より硬いのでキズがつきにくく、経年劣化も少ないそう。
キッチンの開口部にガラスのパーテーションを追加。仕事関係の来客があったときに、ダイニングからキッチンが丸見えになるのが気になっていたそうで、さりげない目隠しに。
リフォームで改善したかったのは収納。「以前は自由にお使いなさいと“箱”だけ与えられたようなキッチンで、使い勝手はよくなかったんです」。背面収納の引き出しの最上段は、青木さんが「洋食器ならこれ」と長く愛用している「イッタラ」の“ティーマ”のマグに合わせた深さに。
和食器は愛媛県の砥部焼が定番。現地の窯を訪ねたこともあるとか。
炊飯器は、スライド棚をつけた扉の内部を定位置に。

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Living &Dining Room

壁を落ち着いた白に塗装し直してリフレッシュ

リビング&ダイニングは、壁を以前より少し暗めの白に塗装し直しただけですが、清潔感が出てリフレッシュできました。フローリングは37年前の新築時に選んだ無垢のオーク材。もはやヴィンテージですね(笑)。無垢材だと、古くなってもそれなりの表情が感じられます。

ダイニング家具は新築してすぐにそろえた「モビリア」のもの。「40年近く使っているので買い替えを考えたこともありましたが、娘から『ここに座ると帰ってきたって感じがする』と言われて、使い続けることにしました」
リビング&ダイニングの壁面に飾られた青木さんの作品。緑色がメインの作品を集めました。下の白いユニット家具は、夫が独身時代に使っていたもの。
3連の上げ下げ窓から庭が眺められるリビングコーナー。ナチュラルな木のフレームのソファはデンマーク製。シートカバーは歴代の愛猫にボロボロにされ、青木さんが何度もつくり直して今にいたるそう。

Washroom

窓からの光と自然素材が心地いい空間

あまり汚れないしお掃除が楽なので、洗面室は一番好きな場所。以前の洗面台も白でしたが、キッチンとおそろいの扉材でつくり変えてもらいました。床は耐水性があってやわらかなコルクタイル、壁は調湿性のある珪藻土に。

プランナーにすすめられて洗面台の上部に棚を設置。「旅行先のイギリスやカナダで購入した品々を飾っています。殺風景にならなくていいですね」
「グローエ」のクラシカルな水栓が青木さんのお気に入り。事前にカタログなどを見て決めていたそうで、「プランナーさんに、水栓だけ決まっている人はめずらしいですと言われました(笑)」

青木さんの暮らしの相棒たち

飽きないから買い替えない。数十年愛用のティーアイテム
「ナルミ」のカップは大学の卒業記念にアパートの大家さんに1客いただいて、同じものを買い足して使い続けています。ステンレスのポットは、30年以上使っている「ラッキーウッド」。レトロなフォルムがお気に入り。
さまざまなケーキ型が最近わが家に仲間入り
ステイホームの時期にリアリティショーの「ブリティッシュ ベイクオフ」にハマって、頻繁にケーキを焼くように。合羽橋などで、ハンドメイドのちょっといいケーキ型をついつい買ってしまいます。
保護猫2代目のポール君が癒やしの存在です
15年一緒に過ごした柊(ひいらぎ)を見送ったあとに、ご縁があって迎えた保護猫2代目のポール。人懐っこいわけではなく、人がいても常にマイペース。健やかな毎日を送るために欠かせない存在です。

Workroom

自然光がたっぷり入るアトリエ

ここは自宅の敷地内に建てたアトリエです。刺繍糸の配色は自然光が頼り。光がたっぷり入るように天井には天窓を、カウンターの前には特注の大きな格子窓をつけてもらいました。仕事とプライベートを分けるつもりでしたが、今は暮らしの中に仕事がある感じ。自宅で家事をしたりお茶を飲んだりしたあと、ここへ戻って“仕事モード”に。

「俳句などの題材を求めて旅する吟行(ぎんこう)のように、刺繍のために旅行がしたいですね」と青木さん。最近ではキノコを見に北海道の阿寒湖を訪れたとか。
グラデーションが美しい刺繍糸は、青木さん愛用のフランスの「DMC」。専用のケースは廃業する手芸店から譲り受けたもの。

写真/土屋哲朗

※この記事は『60代からの小さくて明るい暮らし』主婦の友社編(主婦の友社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。


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