水俣病被害者マイク絞りは「代々の対応例」 発言制止めぐり国会で環境省が答弁

水俣病被害者の声が「絞られた」のは、誰の指示だったのか…。国会では8日、関連の質疑が行われ、環境省は「代々引き継がれてきた対応だった」と答弁した。

問題の出来事は、5月1日に熊本・水俣市で行われた水俣病被害者団体と伊藤環境相の懇談の席で起きた。被害者が大臣を前に切実な実情を語る途中で、環境省側が所定の発言時間が過ぎたことを理由にマイクの音量を絞り、発言が制止された。

8日の衆院内閣委員会で、立憲民主党の中谷一馬議員は、この対応が誰の指示だったのかを質問した。

これに対し環境省の担当者は、「時間を超過し、司会から話をまとめるようお願いしたうえで、マイクを次の方にお渡しいただくため音量を切る対応を取った」と説明。具体的に指示した人物はいないとした。

環境省はさらに、「この対応は従前より準備していた対応例にならい、事務方の判断で行った。代々こういう事態になったら、こう対応すると引き継がれてきた経緯がある。ただ発動されたのは今回が初めてだ」と答弁した。

中谷氏は「まさに岸田政権の『聞く力』のなさを体現する出来事だ。形式的なルーティーンワークと錯覚しているから、こんな失礼極まりない対応になる」と述べ、マイク音量が絞られたことに「気づかなかった」とした伊藤環境相については「資質があるとは思えない」と断じた。

答弁に立った林官房長官は、「環境省の事務方の対応は不適切なものだった」との認識を示し、質疑の最後には、「政府としても、私からもお詫びを申し上げたい」と謝罪した。

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