地下水汲み上げ浄化センター 和歌山ろうさい病院で竣工式

和歌山市北部で唯一の災害拠点病院となる和歌山ろうさい病院で5月7日、災害時などに地下水を汲み上げて飲料水にも利用できる「地下水汲み上げ浄化センター」の竣工式が行われ、テープカットで完成を祝いました。

浄化センターの前で行われたテープカット

和歌山市を流れる紀の川の北岸には、市民の4割が生活していますが、和歌山市北部にある災害拠点病院は、和歌山ろうさい病院のみで、2012年3月に和歌山県から指定されて以降、災害対応機能の強化に取り組んできました。

2015年7月には、災害時の孤立に対応するため、屋上にヘリポートを設けた「災害医療研修棟」を、2022年3月には、発電量を2倍にして平時と同じ医療を提供できるようにする「災害医療対応棟」を、ぞれぞれ建設しました。

そして今回、2021年10月の六十谷水管橋崩落で、和歌山市北部全域が断水したことを教訓に、和歌山ろうさい病院が、地下水から医療用水を確保できる「地下水汲み上げ浄化センター」を、国の補助金を活用して総工費およそ1億4千万円で敷地内に設置しました。

きょう午前11時から和歌山市木ノ本の和歌山ろうさい病院で開かれた竣工式では、和歌山ろうさい病院の南條輝志男(なんじょう・きしお)院長が挨拶し、「私が病院長としてこの病院に赴任したのは、東日本大震災の3週間後で、着任以来、大災害に強い病院づくりに取り組んできた。いつ南海トラフ巨大地震が発生するかわからない中、このタイミングで、3本目の防災の柱として、最も重要な給水が確保できたことは、病院にとっても、地域の人たちにとっても、安心・安全を提供できたと確信している。これからも、地域の皆さんの期待を裏切らない病院として、さらなる活動を展開していきたい」と述べました。

挨拶する南條院長

来賓として式典に出席した、和歌山県の岸本周平(きしもと・しゅうへい)知事は、「水管橋が崩落した際、和歌山市の紀北地域が大変なことになったが、この施設ができたことで、安心して紀北地域で生活できるようになる」と歓迎しました。

挨拶する岸本知事

和歌山ろうさい病院の「地下水汲み上げ浄化センター」は、井戸から汲み上げた地下水をろ過し、隣接の貯水槽に貯めて、災害時に病棟など病院の施設に供給するもので、給水量は、これまでの一日およそ30トンから4倍の120トン以上に増加します。

大規模災害などで断水が発生した場合に病院で使える水量が飛躍的に増え、災害時にも、人工透析などの医療を継続できるとともに、近隣住民の安心安全にもつながるものと期待されています。

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