「遅れ数年単位」沿線自治体からも嘆きの声「1日も早く」新幹線札幌延伸延期報告ドキュメント

2024年5月8日午後、国土交通省を訪れた鉄道・運輸機構の藤田理事長。

(鉄道・運輸機構 藤田耕三理事長)「建設を進めている北海道新幹線の新函館北斗ー札幌間の完成・開業の見通しについて、建設主体である私どもの判断のご報告に参りました」

2030年度末としていた北海道新幹線・札幌延伸の開業が、極めて困難な状況にあることを斉藤大臣に報告しました。

(鉄道・運輸機構 藤田耕三理事長)「北海道新幹線の開業を待望しておられる沿線の皆さまに、こういう形でご心配をおかけすることに心から申し訳なく思っています。お詫びを申しあげます。現時点で具体的に次の開業時期・目標をお示しすることは技術的に困難で、あえて言えば数年単位の遅れでご理解いただきたい」

新函館北斗から札幌への延伸を目指す北海道新幹線。

長さ212キロの8割を占めるトンネルの掘削工事が進められてきましたが、2021年、羊蹄トンネルで巨大な岩が見つかり、掘削が一時中断。

鉄道・運輸機構は最大4年の遅れが出ていることを明らかにしていましたが、開業の延期についてはこれまで明言を避けてきました。

(青柳記者)「新幹線の札幌延伸延期を受けて、駅周辺の再開発にも影響が出るかもしれません」

札幌駅前では新幹線延伸を見据えて再開発事業が進められています。

現在の札幌駅の東側には、交通ネットワークの中心となる新幹線駅がつくられー

バスターミナルがあったエスタの跡地周辺には、高さ245メートルの超高層ビルの建設が予定されています。

マチのひとはー

(札幌市民)「開通に合わせてまちづくりを変えなきゃいけなかったところとかあると思うので、できるだけ早くつながってほしい」

(札幌市民)「エスタも閉まっちゃったし、バスとか利用している人も地方から来た人はどこで降りればいいのとかどこで乗ったりいいのとか戸惑いはある」

まちづくりへの影響は避けられないと専門家も指摘します。

(北海道大学工学研究院 高野伸栄教授)「エスタもなくなりパセオもなくなり、駐車場も再開発のために使えなくなったり、バス停が分散したり、駅の利便性がすごく低下しちゃっているわけですよ。それが長年に及んでなおかつ先行きが見通せない、いつ完成するか見通せないという状況になりますと、市民の皆さんが札幌駅周辺から離れていく」

秋元市長はコメントを発表し「開業が遅れることになれば、まちづくりや民間投資への影響は広範囲かつ甚大」と懸念を示しました。

新幹線の駅が建設される倶知安町です。

ニセコ地区には多くの観光客が訪れていますが、町民からは落胆の声が聞かれました。

(倶知安町民)「できるだけ早い方がいいと思いますね、倶知安の経済としても」

(倶知安町民)「そこに合わせてこのあたりいろいろ工事が入っているので、気持ちとしては延期してほしくない」

鈴木知事は「札幌開業は道民の悲願、この度の目標達成困難の報告は大変遺憾と言わざるを得ない」。

札幌延伸後に経営自立を目指すJR北海道の綿貫社長は、「一日も早い全線開業に向けて取り組んでまいります」とそれぞれコメントしています。

国は10日に有識者会議を開き、新たな開業時期などについて協議する方針です。

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