大津園児事故から5年

大津市の交差点で散歩中の保育園児の列に車が突っ込み、園児と保育士合わせて16人が死傷した事故から、8日で5年。二度とあのような悲惨な事故を繰り返してはいけません。子どもたちを守るための安全対策は―

2019年5月8日、大津市大萱の交差点で乗用車同士が衝突し、はずみで1台が、歩道上で信号待ちをしていた散歩中の保育園児らの列に突っ込みました。園児2人が死亡。園児と保育士合わせて14人が、重軽傷を負いました。痛ましい事故から、きょうで5年。現場を通った人の中には、亡くなった園児を悼み、手を合わせる人もいました。事故後、現場には、防護柵などの安全対策が取られました。防護柵は、危険箇所の調査の結果、県道には、新たに56カ所設置されたということです。また、この事故を受け、国も動きました。保育園などの施設が近くにあることをドライバーに示す「キッズゾーン」を導入。大津市内では、事故が起きた2019年から翌年にかけ、502カ所のキッズゾーンが設置されました。事故を受け、多くの保育士から散歩に対する不安の声を聞いたという警察官、青木洋明巡査部長は「二度とあの事故を起こさない、被害に遭わないようにどのような対策を取るべきかが警察の課題。いかに安全に、不安を取り除いてあげて、お散歩をさせてあげられるかというところで考えたことがお散歩指導。」と話しました。

事故の翌年、大津警察署に赴任した青木巡査部長は、これまで約80の保育園や幼稚園に出向き、それぞれの散歩ルートの危険個所の確認や安全な歩き方の指導を行いました。特に、青木巡査部長が力強く説明したのが「横断歩道の渡り方」。実際に指導を受けた保育園では、旗を持ち、園児が渡っていることを周知する保育士は、横断歩道の中の園児に目を向けるのではなく、外側の車の運転手の動作に注意を払っていました。この5年間、県内でも様々な安全対策がとられました。しかし、小学生以下の子どもが関係する事故は、去年も、63件起きていて、1人が死亡・155人がけがをしています。

いくらハード面で対策をとっても、いくら子どもたちや先生が注意をしていても、凶器となる車のハンドルを握るドライバーの意識が向上しないと事故はなくなりません。青木洋明巡査部長は「自分が事故を起こしてしまうかもしれないという危機感を常に持ってもらって、相手が必ず自分の思う行動をとるとは限らない。常々事故を避ける運転、もう一度安全運転を再認識してほしい」と話しました。

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