新型コロナ5類移行から1年 不要になった「ワクチン保管用冷凍庫」は意外な形で有効活用(島根・松江市)

ワクチンに関連して気になる「ソノアト」を取材しました。
国が全国の自治体に提供したワクチンを低温保存できる冷凍庫。
2024年3月いっぱいで全額公費負担のワクチン接種が終了したのに伴い、使い道がなくなりましたが、意外な形で有効活用されるケースがありました。

2021年、国は新型コロナのワクチン接種を進めるため、低温保存ができる冷凍庫を各自治体に提供しました。
低温で保管が必要なワクチンにとっては欠かせない存在で、国は約90億円をかけて2万5000台を確保、1台あたり単純計算で、40万円あまりに上ります。
しかし、2024年3月いっぱいで新型コロナワクチンの公費負担による接種が終了、国は各自治体にこの冷凍庫の譲渡や売却、廃棄などを求めていました。

こうしたなか、意外な形で有効活用されている冷凍庫のソノアトを追いました。

松江市内の給食センター。
毎日、約5000人分の給食を作るこの施設に…。

松江市教育委員会学校給食課・足立訓英課長:
「こちらですね」

安部大地記者:
「入口すぐそばに置かれていますね」

設定温度はマイナス20℃。
かつて、モデルナ社製のワクチンを保管していた冷凍庫です。

現在保管するのは。

松江市教育委員会学校給食課・足立訓英課長:
「これは魚ですね、給食で使う食材のサンプル品を保管する冷凍庫として使わせてもらっています」

なんと、食材の保管という第二の使い道を与えられていました。
松江市は冷凍庫の活用策を模索する中で、市が所有・管理する施設でニーズを調査。
2024年3月からこの給食センターで使用されることになりました。

現在は給食の食材として採用するかを選ぶための冷凍食材のサンプルが保存されています。

これまでは執務室にある家庭用の冷凍庫を使っていましたが、容量がいっぱいになるときもあったといいます。

安部大地記者:
「だいぶ空きができてますね」

松江市教育委員会学校給食課・足立訓英課長:
「良いタイミングでいただいて助かっています」

使い道は給食だけではありません。
このほかにも…。

安部大地記者:
「結構な台数がありますね」

松江市予防接種室・川上貴史室長:
「こちらについては島根大学や松江高専で今後引き取って利用してもらう予定です」

マイナス75℃と超低温で保管できる高性能な冷凍庫も多く、市の担当者も貰い手があるか不安だったといいますが、島根大学や松江高専から薬品サンプルの保存などに使用したいとの声もあり、市が保有する16台は全て引き取り先が決まっています。

松江市予防接種室・川上貴史室長:
「(最初は)実際に貰い手があるだろうかと困ったのは事実。税金で購入したまだ使えるものですので、自治体が一斉に処分すると日本全国で冷凍庫の廃棄が山ほど出るというところもありまして、なんとか譲渡を進めたかった」

コロナ禍では多くの税金が投入されるも使用されないままワクチンが廃棄されるケースもあり、問題となりました。

冷凍庫についても新型コロナ対策で投じられた多額の税金が無駄にならないような有効活用が求められています。

© 山陰中央テレビ