令和6年度関東高校サッカー大会茨城予選 準決勝 明秀日立 vs 東洋大牛久

土壇場で追いついた明秀日立、PK戦で東洋大牛久を破り2年ぶりに関東大会へ
PK戦で東洋大牛久破った明秀日立が2年ぶりに関東大会へ

 令和6年度関東高校サッカー大会茨城予選の準決勝が5月8日にト伝ノ郷運動公園で開催され、明秀日立東洋大牛久を2-2(PK4-2)で退け、決勝に進出するとともに関東大会の切符を手にした。

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 4月28日に県1部リーグの第4節で対戦したばかりの両チームが、関東大会出場をかけこの準決勝で激突。リーグ戦では2-0で明秀日立が勝利したが、この日はPK戦までもつれる接戦となった。

 序盤に攻勢を仕掛けたのは明秀日立。立ち上がりから動きに硬さが見える東洋大牛久の選手たちを尻目に、落ち着いてゲームをコントロールすると、MF14尾上陸(3年)が左サイドを突破するなどゴールに迫った。

 しかし、明秀日立がゴールを決め切れずにいると、徐々に気合と身体の動きが噛み合ってきた東洋大牛久に流れが傾き出す。そして試合が15分を過ぎたあたりから東洋大牛久が相手を押し込み始めると、32分にはロングスローをニアで逸らしたところに、長身のDF2東航太朗(2年)が飛び込みヘディングシュートで惜しいシーンを作る。

 さらに東洋大牛久はボランチのMF10西畑遼祐(2年)や右WGのFW11松本啓志(2年)が状況によっては最終ラインに入るなど、守備面でも臨機応変に相手の攻撃に対応。ペースを譲ることなく戦い続け、そのままスコアレスで前半を終えた。

 「前半は完璧だぞ!」

 そう言ってピッチから戻ってきた東洋大牛久の選手たちをベンチで迎えた丸山和男監督。このやり取りからもわかる通り、東洋大牛久にとってはしてやったりの展開。逆に明秀日立は向かってくる相手に対し受けに回ってしまった前半となった。

 そして試合が後半に入ると41分、明秀日立はMF24廣瀬魁(2年)が右から切り込みカットインシュート。42分、今度は東洋大牛久。MF8大沼輝生(2年)がお返しとばかりに左からカットインシュート。明秀日立がギアを上げたことで、試合は一進一退の展開へ。

 是が非でも先制点が欲しい両チーム。51分には両チームが同時に最初の交代カードを切る。東洋大牛久はFW9宮本海翔(3年)を、明秀日立はケガの影響でベンチスタートとなっていたMF10竹花龍生(3年)をそれぞれ投入。そして、この交代で攻撃にリズムが生まれた明秀日立が遂に均衡を破る。

 60分、こぼれ球を拾ったMF7阿部巧実(3年)からの鋭いグラウンダーパスで中央を抜け出した尾上がGKとの1対1を迎えると、冷静にゴール右に流し込み、先制ゴールを挙げた。

明秀日立 vs 東洋大牛久

 狙い通りの展開に持ち込みながら逆に先制を許してしまった東洋大牛久も反撃。72分、左のMF7櫛田治弘(3年)がボックス内右に走り込んだ宮本へ絶妙な浮き球を通すと、宮本がバウンドに右足を合わせ豪快にネットに突き刺した。

 東洋大牛久が振り出しに戻したゲームは1-1のまま後半も終了。試合は10分ハーフの延長戦に突入した。

 東洋大牛久GK1伊藤颯(3年)のファインセーブもあり、スコアが動かないまま延長も後半を迎える。すると92分、MF6稲葉陽(3年)の蹴った左CKが相手のオウンゴールに繋がり、東洋大牛久が遂に逆転に成功した。

 これで追い込まれた明秀日立だったが、ここから猛攻を仕掛けると、試合終了間際の99分、スルーパスで中央を抜け出したFW25鈴木優斗(2年)がGKをかわしたところで倒されPKを獲得。このPKを竹花がしっかり沈めた。

明秀日立 vs 東洋大牛久

 土壇場で試合を振り出しに戻した明秀日立。その後突入したPK戦ではGK1重松陽(3年)の2連続セーブも飛び出し、PK戦を4-2で制した。

 昨夏の全国王者をあと一歩まで追いつめながら、惜しくも勝利を逃し、悔しい結果となった東洋大牛久。それでも丸山監督は「2年生が多い中で、明秀さん相手に力強く自信を持ってよくやってくれた」と選手たちを労った。そして「今大会で自信を持てたので、うちのサッカーがバージョンアップできました。リーグ戦も一試合挟むので、そこで勢いをつけて総体に向かっていきたいです」と手応えとともにインターハイ予選に向けて意気込みを語った。

 一方、勝利した明秀日立の萬場努監督は「まだ春なので」と現段階では勝ち負けに固執することはないと前置きした上で「PKでタフだったし、ビハインドに対してもファイティングスピリットをみせてくれた」とコメント。

 そして関東大会に向けては「向かっていくところをもっと出したいので、プレッシングに行って制圧したいし、スキルでボールを保持しても相手を凌駕できるような、攻守両面でアグレッシブさをもっと出していきたい」と話した。

 準決勝を勝ち抜いた明秀日立は12日にひたちなか市陸上競技場で霞ヶ浦と決勝を戦い、5月25日から千葉県内で行われる関東大会に出場する。

(文・写真=会田健司) 

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