奈良市/富雄丸山古墳の近くに文化財センター建設へ、本年度に設計着手、

奈良市は東アジア最大の蛇行剣や銅鏡などが出土した富雄丸山古墳の近くに「(仮称)奈良市文化財センター」を建設する。理念は文化遺産の「発見」「継承」「発信」の拠点。文化財の調査・研究、保管・展示に加え、交流・体験の機能を備え、市の文化的魅力を全世界に発信する。本年度に設計着手し、2026年度の着工を目指す。28年度から段階的に供用する予定だ。
基本構想によると、建設地は丸山1ほかの富雄丸山古墳隣接地。第二京阪道路の出入り口に近く、付近には本年度内にオープン予定の道の駅「クロスウェイなかまち」が立地。敷地は7000平方メートル以上、建物の規模は3階建て延べ6000平方メートル以上を想定している。
国内外の研究機関や大学と連携し、最先端技術を用いた調査研究拠点を目指すとともに、国宝や重要文化財の保存・保管、史料のデジタルアーカイブ化に取り組む。富雄丸山古墳から出土した蛇行剣や盾形銅鏡などのほか、平城京を中心とした奈良市の歴史を学べる展示を行う。一部の出土品は「見せる収蔵庫」による展示を目指す。
交流・体験機能では実物の鑑賞やレプリカに触れてもらうほか、文化財の情報を発信するスペースを設ける。交流の場を提供し、文化財の重要性を啓発する。さらにAR(拡張現実)やVR(仮想現実)による発掘調査体験、土器づくりなど古代の技術を体験してもらう。
建物の外観は周辺環境に配慮しつつ、維持管理がしやすいシンプルなデザインを採用する。浸水対策として2階以上に展示室や収蔵庫を配置する。RC造を基本に、文化財公開施設や博物館にふさわしい構造にする。
25年度までに用地測量や地質調査、用地取得を完了するほか、官民連携手法の導入可能性調査を行い、事業手法を検討する。26年度に工事着手、移転準備を経て、28年度から段階的に供用する。
基本構想の策定はオリエンタルコンサルタンツが担当した。

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