東京23区大規模オフィス供給量、23年は20年に次ぐ水準/森トラスト調査

森トラストは8日、東京23区内が対象の「オフィスビル供給量調査」の結果を公表した。2023年に供給された延べ1万平方メートル以上の大規模オフィスビルは総延べ約138万平方メートル。21年や22年と比べて大きく伸び、過去5年間では20年(約185万平方メートル)に次ぐ水準となった。今後5年間の供給量は各年とも23年を下回る見通しで、空室率も低い状況が続くと見られる。
調査は開発主体の公表資料などを基に集計し、毎年結果を公表している。大規模オフィスビルの供給量はコロナ禍で急激に落ち込み、21年は約61万平方メートル、22年は約49万平方メートルだった。23年は前年比で約2・8倍に急増。コロナ禍前の水準に戻りつつある。
今後5年間の供給量は低調で推移する見通しだ。各年の供給量(予想)は▽24年=約65万平方メートル▽25年=約118万平方メートル▽26年=約103万平方メートル▽27年=約60万平方メートル▽28年=約78万平方メートル。考えられる理由として担当者は、物価高や人手不足などを挙げる。
コロナ禍ではテレワークが普及し、オフィスの存在意義が問い直された。同社はオフィスに導入する付加価値に関し、各社が検討に時間をかけていることも供給量減少の一因と見る。
過去5年間の供給を区ごとに分けると▽港区=38%▽千代田区=21%▽中央区=10%-となり、都心3区が多い。今後5年間だと▽港区=43%▽千代田区=19%▽中央区=19%-となり、依然都心3区が強いものの、ウエートが千代田区から港、中央両区に移っていく傾向が読み取れる。
より具体的に分析すると、過去5年間では虎ノ門・新橋エリア(港区)の開発が旺盛で、約119万平方メートルが供給された。ただ同エリアの開発は一服し、今後5年間は八重洲・日本橋・京橋エリア(約73万平方メートル)や白金・高輪エリア(約50万平方メートル)で供給が加速しそうだ。
八重洲エリアでは大手町二丁目常盤橋地区(千代田区大手町)の再開発(TOKYO TORCH)が28年に竣工予定。日本橋一丁目中地区C街区(中央区日本橋、26年竣工予定)やTAKANAWA GATEWAY CITY(港区高輪、25年以降竣工予定)の開発も影響している。

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