内閣府/ローカルPFI導入拡大へ取り組み強化、多様な効果評価・新たな指標創出へ

内閣府が事業を通じて地域経済や社会により多くのメリットや多様な効果をもたらす「ローカルPFI」の導入拡大へ取り組みを強化している。案件形成の促進へ、地域の産官学金が集いノウハウ取得や官民対話など情報交換を行う「地域プラットフォーム」の設置を支援。VFM(バリュー・フォー・マネー)など財政負担の軽減効果だけでなく、地域のにぎわいや雇用創出といった多様な効果を定量・定性的に評価できる指標の創設を目指す。
ローカルPFIは事業を通じて地域課題を解決し、地域の経済や社会により多くのメリットをもたらすことがコンセプト。財政負担の軽減効果に加え、地方自治体や民間の創意工夫による多様な効果に焦点を当て、事業を推し進める。
これまで、PPPやPFIはコストカットや経済発展の文脈で語られることが多かったが、内閣府民間資金等活用事業推進室の担当者は「地域の経済や社会、発注主体や民間、住民、地域全体に多様な効果やメリットがある」と指摘する。人口減少やインフラの老朽化といった課題も踏まえ、内閣府は地域の課題解決や発展につながるローカルPFIの普及や情報発信に努めている。
内閣府と国土交通省は、地域プラットフォームの設置と運営を支援。4月時点で38都道府県に設置済みという。プラットフォームで地域課題や解決のための事業のアイデア、ノウハウなどを共有し、案件形成につなげる。
ローカルPFIの採用可否を判断するに当たり、効果の指標を示すことが重要になる。現在はVFMを重視する傾向にあるが、財政負担軽減効果以外にもたらされる多様な効果の指標の在り方を検討している。
これまでのPFIが採用された事業でもローカルPFIのコンセプトに合致した優良事例が複数ある。例えば人口4万人弱の静岡県函南町では、町の発展のためPFI手法を採用し、道の駅を整備した。県内企業の加和太建設が代表企業となりSPC(特定目的会社)を組成。町内在住者の雇用にも積極的に取り組んだ。
契約時のVFMは8・9%。施設の年間利用者数は当初想定(69万人)の2倍以上となる164万人(2018年)となった。隣接地にテーマパークが整備され、集客面での相乗効果が生まれ利用者数と売り上げが4~5割増加した。
内閣府によると、ローカルPFIでは、造園会社が施設運営に乗り出すケースなどもあり、建設関係の会社にとっても事業領域を拡大するチャンスになり得るという。

© 日刊建設工業新聞社