「定年退職後も働きたい」という父。子どもとしては「ゆっくりしてほしい」ですが、みんな働いているものですか?

65歳〜69歳の約半数は働いている

65歳〜69歳の方の約半数は働き続けているようです。総務省統計局が発表する「労働力調査」によると、高齢者の就業率の推移は表1の通りです。

表1

※総務省統計局「労働力調査(基本集計)」を基に筆者作成

表1の結果から、高齢者の就業率はどの年齢においても年々上昇していることが分かります。

また、2020年時点の就業者は65歳以上で見ると4人に1人程度の割合ですが、その中でも65歳〜69歳に絞ると2人に1人と割合が上がるようです。

一方、70歳以上になると就業者は約18%となり、働いている方の割合がおおよそ5〜6人に1人と大きく下がります。これらのことから、現状では70歳からゆっくり過ごしている方が多いと考えられます。

老後に必要な資金の平均は夫婦世帯でおおよそ28万円

定年退職後、親にゆっくり過ごしてもらうには、ある程度の生活費を確保しておく必要があります。総務省統計局が発表する「家計調査報告」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均的な支出は28万2497円とのことです。

そのため、定年後に支払われる年金とこれまでの貯蓄とでこの生活費をまかなえるのであれば、老後にゆっくりと過ごしてもらうことができるでしょう。

しかし貯蓄や年金が少なく、将来的に足りなくなってしまう可能性が高いのであれば、働かなければならないかもしれません。

シニアが働きたい理由の1位は「働くことで健康を維持したいから」

シニアが「働きたい」と思う理由もいろいろあるようです。株式会社パーソル総合研究所の「働く10,000人の就業・成長定点調査」によると、シニアが高齢になっても働き続けたい理由の1位は「働くことで健康を維持したいから」だったそうです。

次いで「生活を維持するために収入が必要だから」「働かないと時間をもてあましてしまうから」が2位・3位と続きます。そのほかにも「趣味に充てる資金を得たい」「仕事を通してやりがいを得たい」など、働きたいと思う方にもそれぞれ理由があるようです。

親が働きたいと言っているのであれば「なぜ働きたいのか」を話し合い、今後の生き方を一緒に決めてもよいかもしれません。

老後にゆっくり過ごしている人は70歳以上の方が多いと考えられる

総務省統計局の調査によると、65歳〜69歳では約半数、70歳以上では5〜6人に1人の方が働いているようです。このことから、70歳以上になってからゆっくり過ごしている方が多いと考えられます。

親の働きたい気持ちを尊重しつつ、お互いにとって何がベストなのかを話し合うのがよいかもしれません。

出典

総務省統計局 統計データ 統計トピックス 統計トピックスNo.129 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで- 2.高齢者の就業
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要 Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯)
株式会社パーソル総合研究所 働く10,000人の成長実態調査

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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