中村アン36歳「40歳が近づいているので、いろいろと考えることは増えました」一人の女性として思うこと

中村アン 撮影/有坂政晴

ポジティブな印象で華やいだ笑顔で魅了する中村アン。“女性のなりたいカラダNO.1”の美ボディとして圧倒的な支持を得る一方で、トレードマークでもある“かきあげヘア”で世の多くの女性を虜にしていた。近年、俳優としての評価が上がっている中村アンにとっての“THE CHANGE”に迫る。【第3回/全3回】

現在放映中のドラマ『約束~16年目の真実~』で主人公の女刑事・桐生葵を熱演する中村さんだが、その役作りに関しては見た目から入った。

「刑事という設定なので、捜査もできて会議にも参加できるという機能的な面から衣装はスーツがベースなんです。髪もショートで、服装の基本カラーは黒で、中のシャツをたまに変えるぐらい。メイクもほぼすっぴんですし(笑)。それから、私、普段はセカセカ動いてしまうところがあるので、ゆっくり動こうと動作の速度や目線を意識しています」

撮影自体は大変だと感じることも多いそうだが。

「スケジュールそのものがハードなんですけど、ちょっと離れたところで撮っているんです。移動にも時間がかかるので、集中して短期間でみんな頑張っている感じです。でも、その大変さすら楽しめてしまう現場なので、この作品に関われてとても嬉しかったですし、誇りに思えますね」

がむしゃらに仕事だけをやってきた10年

そんな中村さんもプライベートでは現在36歳。30代の前半と後半での違い(変化)はあるのだろうか。

「仕事の面で言うと、やっぱり30代後半になってからは、よりひとつひとつと向き合って取り組むようになりましたね。役についても深く考えるようになったといいますか、ちょっとイメージに無いものをやりたいなって思うようになってきたと思います。
俳優の仕事を始めたころは秘書とか、きらびやかな感じだったりとか、髪をかき上げるのを武器にするような役が多かったといいますか、今回の『約束』みたいなトーンの作品にはこれまで出会わなかったので、少しずつ役の幅が広がってきているなと思います」

一人の女性という部分では?

「段々とお仕事が楽しくなってきて、あっという間に36歳になっていた……というのが正直なところなんです。ひたすら、目の前の仕事をしていると、年齢をつい忘れちゃう(笑)。だから、女性的なところで言うと、やっぱり40歳が近づいているので、いろいろと考えることは増えました。
でも、それは自分が考えたところで、思うようにいかないことが多いので、時に身を任せています(笑)。25歳ぐらいから、本当にがむしゃらに仕事だけをやってきたので、あんまり振り返る時間が無かったんです。ただひたすら山を登っている感じだったんですけど、本格的にお芝居にチャレンジするようになってからは、自分と向き合う時間が増えてきたので、いまの方が結構、振り返ったり、立ち止まったり、考えたり、悩んだり……ということが多くなりました」

以前、女性ファッション誌で「35歳になったら、急に大人の気分になった」と話していたが……。

「やっぱり演じる役は年齢に応じるところも多いですし、年齢と共に経験値も上がってきて、演じられる役柄も増えてきた気がします」

今後、変わっていくとしたら、どんな風に変わっていきたいか。

「いま現在がやっとスタート地点に立てたって感じがするんです。やっとやりたいことが出来るようになってきたと実感するんです」

昨年は舞台『笑ってもいい家』で初めての舞台を経験した。

「ドラマや映画と違って、編集も無く本番だけで、それも大勢のお客さんの前でお芝居をするという経験を積んで、少しずつですが力になることをやれているなって感じます。
そもそも、俳優という仕事が正解が無いというか、具体的な順位とかもないし、可視化出来るものでもないので結果が良かったのか良くなかったのかもよく判らないんですけど、闇雲のなかで少しずつ、自分の力をつけながら前に進んでいけたらいいなって思っています」

中村アンはいまも、日進月歩中なのである。

中村アン(なかむら・あん)
1987年9月17日、東京都生まれ。多くの女性ファッション誌でのモデルを経て、2015年に放映されたドラマ『5→9~私に恋したお坊さん~』で本格的に俳優業を始める。近年ではドラマ『グランメゾン東京』、『DCU~手錠を持ったダイバー~』などの話題作に出演。

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