「医療従事者の負担軽減に」高校生開発の“デジタル聴診器”と“耳鳴り抑制装置”が話題 医者も「治療に役立つ可能性がある」【SDGs】

静岡市島田市の高校生が医療に役立てようと2つの機械を開発しました。その名も「デジタル聴診器」と「耳鳴り抑制装置」。現場の医師は期待を寄せています。

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(記者の心臓の音)「ドクンドクン」

<篠原大和記者>
「いま聞いていただいているのは私の心臓の音です。高校生が開発したデジタル聴診器は音をデジタル化して画面に表示し、目で見て確認できます」

県立島田工業高校です。放送技術班の生徒たちは、SDGsの目標「すべての人に健康と福祉を」をテーマに電子機器の開発を進めています。

<3年 三輪勇太さん>
「聴診器のこの部分に音を電気信号に変えるセンサーを搭載している。電気信号をこの機械でデジタル化してモニターで可視化できる」

2023年に完成したデジタル聴診器。赤い色は聴診器がとらえた低い音を示し、心臓の鼓動の強さを目で確認することができます。デジタル化によって「記録」ができ、データの比較もしやすくなります。

<3年 三輪勇太さん>
「下の画面は赤色の部分が薄いので心臓の力が弱いことが分かる」

<患者役の生徒>
「先生、診察お願いします」

患者が自宅などで使うことも想定しました。インターネットを利用してデータの共有ができます。

循環器内科の医師に、生徒たちが動画サイトで公開しているデジタル聴診器の映像を見てもらいました。

<甲賀病院循環器内科 遠藤彰部長>
「不整脈や心臓の異常は常に出ているわけではなくて出たり引っ込んだりする。『おかしいぞ』と思ったときに自分で使用して、診察のときに資料として持ってきてもらうと診断や治療に役立つ可能性はあると思います」

デジタル聴診器は2023年「全日本学生児童発明くふう展」で奨励賞を受賞しました。

<2年 曽根光葵さん>
「静岡は全国的に人口あたりの医師の数が少ないと聞いた。医療従事者の負担を減らせる機械を作ろうと研究を続けている」

そして、2024年は「耳鳴り抑制装置」が同じく奨励賞を受賞しました。

<2年 曽根光葵さん>
「耳鳴りの周波数の逆のノイズを発生させて、聞いてもらうことで耳鳴りの症状を緩和することが狙い。誰でも簡単に使えるので『軽い不調は自分で手当てする』というセルフメディケーションにつながる。医療従事者の負担軽減につながると考えている」

生徒たちは課題研究で学んでいる舞台音響の技術や知識を応用しました。耳鼻咽喉科の医師は、耳鳴りの周波数と逆のノイズを利用する音響療法はユニークな発想だと話します。

<甲賀病院耳鼻咽喉科 平原信哉医師>
「若い人が医者の負担を減らしたいと思ってくれるのはすごくうれしい。将来的に日本にも約300万人いるといわれる耳鳴り患者の治療の選択肢のひとつになればといいと期待している」

生徒たちが開発した電子機器は業界で話題となり、企業などが視察に訪れています。

生徒たちは今日も開発した機械の改良や新しい機械づくりに励んでいます。

耳鳴り抑制装置の開発は耳鳴りの症状に悩むクラスメイトがいたことがきっかけでした。生徒たちは作った機械が医療従事者の助けにつながればうれしいと話していました。

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