頼りの新助っ人不在となった西武打線 新陳代謝促進へ昇格待たれる2人の若獅子

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アギラーが登録抹消で、助っ人野手不在に

西武のヘスス・アギラーが8日、右足首痛のため出場選手登録を抹消された。メジャー通算114本塁打を誇る新助っ人は開幕から主に4番を務め、4月13日のソフトバンク戦で来日第1号、翌14日に2試合連続となる第2号を放ち、主砲として存在感を発揮。しかし、その後は調子を崩し、ここまで打率.204、2本塁打、10打点。6日、7日のロッテ2連戦は欠場していた。

同じく今季来日したフランチー・コルデロも、14試合の出場で打率.176、1本塁打、3打点と日本独特の緩急と変化球への対応に苦しみ、4月15日に二軍へ降格。これで西武は今季加入した助っ人を欠いた状態での戦いを余儀なくされた。

チームは5月8日終了時点で借金10、5位・楽天と3.5ゲーム差の最下位。勝率は両リーグで唯一の3割台と低空飛行が続いている。4月の7連敗に加え、5月に入っても5日から3連敗を喫した。

78得点、打率.203ともにリーグワーストの貧打が低迷の原因だ。山賊打線として名を馳せた2018年、2019年のリーグ連覇から主力野手の流出が止まらず、昨オフには主砲・山川穂高もFAでソフトバンクへ移籍。その代役として獲得した新助っ人2人が不発な現状では、得点力不足に陥るのも致し方ないと言える。

ファームで好調の期待の若獅子2人

期待の新助っ人たちが機能しない以上、国産打線で窮地を脱するしかないだろう。今この状況を打開するには、ファームで研鑽を積んでいる若獅子たちを昇格させ、一軍で躍動することに期待するほかない。特に、レギュラー不在の外野手で新戦力の台頭が待たれる。

現状その一番手として名前が挙がるのは、2022年のドラフト1位で入団した蛭間拓哉だ。昨季は二軍で好成績を残し、6月下旬に一軍デビュー。一時は上位打線を任されるなど、将来の主軸候補として首脳陣からも大きな期待を寄せられていた。

だが、今季はオープン戦から不調で開幕前に二軍落ち。ファームでもなかなか調子が上がらず、打率も2割前後を推移していた。だが、ここにきて調子が上向きに。直近10試合で5度のマルチ安打を放つなど40打数15安打の打率.375と、ようやく持ち味のシュアなバッティングが戻ってきた。

先のロッテとの2連戦では、4番・中村剛也が2試合連発も、いずれもソロ本塁打で空砲に終わった。打線の破壊力を増すためにも、歴代10位の通算476本塁打を誇る大砲の前に出塁できる選手を置きたいところ。攻撃力強化の起爆剤として23歳の昇格が待たれる。

もう一人ファームで好調なのが、ドラフト6位ルーキーの村田怜音だ。3月に3試合出場した後は三軍で実戦を積んでいたが、二軍で初スタメン出場した4月22日の楽天戦でプロ初安打を含む4打数4安打と大爆発。その後も2本塁打を放つなど持ち前の長打力を発揮し、ここまで11試合出場、打率.333、OPS.995と好成績を残している。

196センチ、110キロの巨体から「レオのガリバー」の愛称を持つ村田は、決してレベルが高いとは言えない三重県リーグ出身ということもあり、当初はプロの球に慣れるまで時間がかかるとみられていた。だが、ここまではその前評判を覆す活躍を二軍では見せており、早期の一軍昇格も手の届くところに来ている。

本職とする一塁を守っていたアギラーが降格したばかりなだけに、昇格のチャンスが訪れても不思議ではない。昨年のドラフトでは唯一野手として支配下指名された村田。先発として既に2勝を挙げている同期入団の武内夏暉とともにチームの救世主となるか。



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