「まぜるな危険」で風呂場で有毒ガス発生“救急車を自力で呼べなかった”Xが閲覧数1640万回超 注意点と対処法

掃除用洗剤には「まぜるな危険」の文言が 撮影/編集部

新緑のまぶしい季節。徐々に日が長くなり、太陽の光も明るくなるなかで掃除や洗濯を行なえば、気持ちがいいもの。本来であれば部屋がきれいになってスッキリするはずの掃除だが、思わぬ事態を招くこともあるようだ。

先日、X(旧ツイッター)で注目を集めたのは、「”まぜるな危険”の塩素系の洗剤と酸性のものが混ざった事故」である。

洗剤のラベルに大きく表記されている”まぜるな危険”の文言。塩素系と酸性タイプの洗剤を混ぜると有毒ガスが発生するため、注意を呼びかける表記である。

「あるXユーザーが、浴室内で”混ぜなきゃいっか”と思い、バスタブで”泡掃除”、鏡で”クエン酸”を使用して掃除をしたところ、2つの物質が排水口で“合流”してしまい、有毒ガスが発生したとのこと。能動的に”混ぜる”わけではなかったため、タイプの異なる洗剤を使っても大丈夫、と判断してしまったようです。

このユーザーは続く投稿で”このあとめちゃくちゃ苦しんだ。苦しすぎて、救急車を自力で呼べなかった”とその危険性とつらさを訴えました。一連のリアルな投稿に、混ぜるつもりはなくとも、結果的に混ざってしまったという身近に危険がひそむ驚きから、X上でも約1640万ビューと大反響を呼びました」(WEBライター)

X上には《私もこれやっちまいました》《トイレと風呂場でこれやって倒れました》などと反響の声が続々と上がり、《「混ぜるな危険」って混ぜなくても混ざったらヤバいんですね…そりゃそうか…》という驚きの声も少なくなかった。

では、塩素系と酸性タイプの洗剤を使う際には何に気をつければいいのか。弊サイトは、「まぜるな危険」の意味や使用上の注意点などについて、大手洗剤メーカー・花王を取材した。

■塩素系洗浄剤、食酢やアルコールと混ざった場合も要注意

弊サイトの取材に対して答えてくれたのは、PR戦略センター事業PR戦略部の担当者。塩素系の洗剤と酸性タイプの洗剤を混ぜると起こることは――。

「まず初めに”まぜるな危険”について正確にご理解いただきたいことは、塩素系の漂白剤や洗浄剤と、酸性タイプの洗剤や洗浄剤が混ざると、危険な“塩素ガス”が発生するので注意が必要であるということです」(花王の担当者)

塩素系と酸性タイプの洗剤を同じエリアで使用する場合は、具体的にどう気をつければいいのか。前出の担当者は「それぞれ単独で使用した後、充分に水で洗い流してから使えば、排水口で混ざっても危険なガスが出ることはありません」と話す。

だが、今回Xへと投稿された事例のように、浴室などの水回りの掃除に使うのは洗剤だけとは限らない。前出の担当者は「塩素ガスが発生する条件」をこう話す。

「塩素系の漂白剤や洗浄剤に、酸性タイプの洗剤や洗浄剤が混ざった場合だけでなく、食酢やアルコール等と混ざった場合も塩素ガスが発生する危険があります。このため、ご使用の際は必ず、製品の裏面にある注意表示をよく読んでからご使用いただくよう注意喚起をしております」(前同)

排水口のヌメりを落とすためにと、塩素系のヌメり取り剤を使用している人もいるだろう。しかし、これも危ないという。日本家庭用洗浄剤工業会は、酸性の排水パイプ用洗浄剤を使って排水パイプを掃除する際は、ヌメり取り剤は外してから使用するよう注意を呼びかけている。

製品は必ず単独で使用し、使用後は水でよく洗い流してから、次の製品を使うこと。また使用する際は換気などの注意が必要だという。

「体調がすぐれない方や、心臓病・呼吸器疾患等の方は使わない。換気扇を回す等、必ず換気する。炊事用手袋、目の保護に眼鏡等を着用する旨を商品には記載し、注意をお願いしております。使用中、目にしみたり、せき込んだり、気分が悪くなったときは、ただちに使用をやめて、その場から離れ、洗眼・うがい等をしてください」(同)

もし洗剤が目に入ったり、飲み込んでしまうことがあったた場合の応急処置は?

「最悪の場合、失明のおそれがありますので、こすらずただちに流水で15分以上洗い流し、痛みや異常がなくても直後に必ず眼科医を受診してください。

また、飲みこんでしまったときは、吐かずにすぐ口をすすぎ、コップ1~2杯の牛乳または水を飲む等の処置をし、医師にご相談ください。皮膚についたときは、すぐに水で充分に洗い流し、異常が残る場合は皮膚科医にご相談ください。いずれも受診時には使用した商品をご持参ください」(同)

意図的に混ぜなくても、うっかり混ざってしまう可能性を考えて使用しなければならないということだ。あらためて”まぜるな危険”を肝に銘じておく必要がありそうだ。

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