ゲームサブスク市場の成長、頭打ちか。前年比でわずか1%の支出増

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ソニーとマイクロソフトの両社は、ともにゲーム定額制サービスの普及に力を注いできた。ここ数年は市場も順調に成長してきたかに思えたが、ついに頭打ちになった可能性が指摘されている。

ゲーム業界アナリストのマット・ピスカテッラ氏はX(旧Twitter)にて、非モバイルのゲーム定額制サービス、すなわちXboxゲームパスやPS Plus等の成長が停滞しているとの調査結果を報告している。同氏はビデオゲーム業界で約20年のキャリアを積み、ゲーム市場のトレンドにつき専門的な知識を持つことで知られている人物だ。

今回の報告によれば、2024年3月のゲーム定額制サービスへの支出は1年前から1%しか増えていないという。2023年4月の前年比は2%増に留まっており、過去2年間にわたって横ばいが続いている格好である。

かつてゲーム定額制サービスはゲームの未来になるという期待を集め、マイクロソフト・ソニー共に自社のサービスを事あるごとにプッシュしてきた。が、Xboxゲームパスは2022年に成長目標を大きく下回った

それ以降はXboxトップのフィル・スペンサー氏の語り口も控えめとなり、ゲームパスが自社ゲーム事業の10~15%以上を占めることはないと発言

また最近、マイクロソフトはゲームパス加入者数が3400万人に達し、2022年の2500万人から増加したと発表。その直後、この数字は既存サービスXbox Live Goldの加入者がXbox Game Pass Coreに切り替えた分を含めていることを認めている。後者は前者の名前を変えただけであり、実質的な違いはない。

その一方、ソニーはPS Plusの現状につき、ほとんど口を閉ざしている。わずかに2023年3月時点では「有料会員数」が4740万人だと述べていたが、価格プランごとの内訳は明かしていない。

その一方で、昨年ソニーもマイクロソフトもゲーム定額制サービスを値上げしていた。それでも収益伸びが横ばいだとすれば、エンゲージメントが下がっているということだ。

よく使われていた「ゲームのNetflix」という表現は、今では矛盾をはらんでいることが露呈しつつある。動画ストリーミングは作業中や家事、食事しつつの「ながら消費」がしやすいが、ゲームは画面に向かって集中して取り組むほかない。

またテレビや映画は消費するエンターテイメントの性格が強いが、数十時間~数百時間かかるゲームのセーブデータは「個人の資産」の性格を帯びる。そのため、ユーザーに所有権を与えずタイトルを入れ替えていく定額制サービスと非常に相性が悪い。

ソニーもPS PlusをPlayStationハードから独立させ、PCやスマートフォン向けに展開していくとのリーク情報もあった。当面は限られたゲーマー人口を各陣営が奪い合いつつ、サービス離れを防ぐために新たな魅力を提示する必要に迫られそうだ。

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