関連死申請100人規模 能登地震死者大幅増か

  ●県と市町、来週にも審査

 能登半島地震後に亡くなった被災者のうち、石川県内で少なくとも86人の遺族が災害関連死と認定するよう申請していることが8日、北國新聞社の取材で分かった。関連死を巡っては、来週にも県と市町の合同審査が始まり、月内に最初の認定が出る見通し。各自治体ではこれ以外の相談も多数受けており、最終的な申請数は100人を超えるとみられる。審査の結果次第では、地震の死者数が現在の245人から大幅に増える可能性がある。

  ●輪島53人、能登16人

 各市町によると、関連死の疑いがあるとして申請を受けたのは輪島市53人、能登町16人、志賀町10人、穴水町7人。珠洲市は非公表としたが、担当者は「少なくとも十数人の遺族から申請がある」と述べた。

 地震の犠牲者のうち、災害関連死の疑いがあるとして既に発表されているのは輪島、珠洲、能登の計15人。審査を申請した86人の中にこの犠牲者が一部含まれているという。

 審査は準備が整ったケースから順に進める。輪島市の担当者は「初回は10人程度が審査を受けることになりそうだ」と述べた。

 このほかの13市町は現時点で申請はないものの、七尾市では30件程度の相談があるという。内灘、白山、小松の各市町にも問い合わせが寄せられている。

 関連死は自治体が審査を経て判断。認定されると遺族に最大500万円が支給される。内閣府は関連死認定の事例集を公表しているが、具体的な基準は定めていない。

 能登半島地震では、住宅の被害判定や公費解体の受け付けなどで忙殺される市町に代わり、県が選定した医師や弁護士ら専門家が審査する。負担軽減と迅速な認定につなげ、基準のばらつきを防ぐ狙いもある。県によると、合同審査は月1回程度開催する。

 県は関連死を防ぐため、地震直後からホテルや旅館などへの2次避難を進めたが、実態はつかめていない。

 2016年の熊本地震では、熊本県での関連死が218人で、直接死の4倍超に上った。関連死の約8割は70代以上で、避難の長期化などが高齢被災者の心身に影響したとみられる。

 ★災害関連死 地震による建物の倒壊や津波などが原因で亡くなる「直接死」とは別に、避難生活の疲労や環境変化のストレスなどから体調が悪化して亡くなり、災害が原因と認められるもの。車中泊などで長時間同じ姿勢を取ることで血栓ができて死亡する「エコノミークラス症候群」のほか、自殺も含まれる。自治体の審査で認定されれば、災害弔慰金支給法に基づき遺族に最大500万円が支給される。

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