エリザベス・モスが怪演! マーティン・スコセッシ製作総指揮『Shirley シャーリイ』本予告解禁

映画『Shirley シャーリイ』ポスタービジュアル(C)2018 LAMF Shirley Inc. All Rights Reserved

マーティン・スコセッシが製作総指揮を務めたエリザベス・モス主演の映画『Shirley シャーリイ』より、現実と虚構の境界が曖昧になる本予告とポスタービジュアルが解禁された。

本作は、スティーブン・キングも影響も受けたと言われるゴシック作家シャーリイ・ジャクスンの伝記に、現代的で斬新な解釈を加えて練り上げた、想像力とダイナミズムに満ちた心理サスペンス。奇才ジョセフィン・デッカーの初長編『Butter on the Latch』(2013)に惚れ込んだ巨匠マーティン・スコセッシが製作総指揮に名乗りをあげ、2020年のサンダンス映画祭でUSドラマ部門審査員特別賞を受賞した。

1948年、「ニューヨーカー」誌上に発表した短編「くじ」が一大センセーションを巻き起こした後、新しい長編小説に取り組んでいたシャーリイ(エリザベス・モス)は、スランプから抜け出せずにいた。新作の着想のもとになったのは、ベニントン大学に通う18歳の少女が突如として消息を絶った未解決の失踪事件である。

部屋に引きこもってばかりいるシャーリイの状況を変えようと、大学教授である夫のスタンリー(マイケル・スタールバーグ)は、助手のフレッド(ローガン・ラーマン)と妻のローズ(オデッサ・ヤング)を居候として呼び寄せる。気難しいシャーリイはローズの存在を忌々しく感じるが、交流を続けるうちに2人の間には奇妙な絆が芽生えていき…。

シャーリイを演じたのは『透明人間』『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』などで知られるエリザベス・モス。ほか、『シェイプ・オブ・ウォーター』『君の名前で僕を呼んで』などで名バイブレーヤーとして評価の高いマイケル・スタールバーグオデッサ・ヤングローガン・ラーマンら一流キャストが集結している。

解禁された本予告は、思うように執筆活動が捗らないシャーリイの心中穏やかでない状況、そして世間とのシニカルな関係性を象徴するようなシーンから始まる。そんな中、大学教授である夫スタンリーの手筈により、平凡な1人の女性・ローズがやってくる。初めは突然の来訪者を忌々しく思っていたシャーリイ。しかし、世間の多くが不気味がっている自身の短編小説「くじ」について、「引き込まれて鳥肌が立ったわ」と真っ直ぐな瞳で語るローズに次第に興味を抱き、2人の奇妙な絆が始まっていく。

「女学生失踪の話か、低俗だが書いてもいい」「狂気の淵に立つ夫人、これから何が起こるのか?」とスランプ中のシャーリイを煽るような態度を取るスタンリー。夫との溝が深まっていく一方、それに比例して親密さを増していくシャーリイとローズの関係は、どういう結末を迎えるのか? 創作するシャーリイの頭の中を垣間見るような美しく幻想的なカットが印象的な、次第に現実と虚構の境界が曖昧になっていく映像となっている。

あわせて解禁されたポスターは、鬱蒼とツタの生い茂る家と窓から外を見つめるシャーリイの姿を捉えたもの。その虚ろでありながら強い眼差しは、自分の頭に浮かんだ物語のビジョンを追いかけているのか、それともこれから家を訪れる無垢な生贄を見つめているのか。遥か昔から棲み着いている幽霊のように窓辺に佇むシャーリイの姿、そして「魔女の毒であなたは目覚める」と添えられたコピーが見る者の想像を掻き立てる、不穏な予感に満ちたビジュアルだ。

本作は、彼女の小説だけでなく、配偶者で文芸評論家でもあったスタンリーとの数百通の手紙をもとに制作されている。また、作家自身のキャラクターを描きながら、まるでジャクスンの小説世界に迷い込んだかのような、幻惑的な映像を作り上げた。デッカー監督は、シャーリイ・ジャクスンについて「ある批評家か伝記作家が“シャーリイは政治的な作家ではない”と指摘していたが、しかしシャーリイは私的なレベルにとどまりつつ政治を意識していたと思っている」と語る。

そして「だからこそ彼女の作品は今でも響き続けるのだ。彼女の作品は非常に人間的だから時代を超えて読まれている。シャーリイは非日常的な設定、心理描写、あるいは潜在意識に訴える巧みなリズムを使って人種差別、階級差別、性差別と闘っていたのだ」とその魅力についてコメント。

脚本を手がけたサラ・ガビンズは長年、文学とかけ離れたホラー作家として扱われてきたシャーリイ・ジャクスンについて異議を唱える。「彼女は数多くの短編や長編を残したが、ホラー作品によくある吸血鬼やゾンビや幽霊や神話上の怪物は登場しない。その代わり日常のありふれた風景の中に恐怖を見出すのがシャーリイの小説の特徴でもある。“人間こそ恐ろしい怪物であり、私たち自身の精神が血に飢えた悪魔的な妖怪であり、私たちの社会はのどかなパーティーを楽しみつつ石打ちの刑にも加われる気まぐれな人々の集まりである”」と述べている。

映画『Shirley シャーリイ』は、7月5日より全国公開。

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