気を抜くと聞こえる“悪魔のささやき” 上井邦裕は欲と戦い3位発進

悪魔のささやきに耳を貸さず(撮影/大澤進二)

◇国内男子◇For The Players By The Players 初日(9日)◇THE CLUB golf village(群馬)◇7172yd(パー71)

「バーディ獲った方が良いかな。まあ、ボギーでもマイナス1ptだし…」。気を抜くと、ふとした時に悪魔がささやく。上井邦裕は、11番のティショットで1Wを選んだことを「調子、乗っちゃった」とちょっと後悔した。

ストローク方式よりも、ポイント制のステーブルフォード方式はバーディ以上の恩恵が大きい。スタート10番で7mのバーディパットを決めて「2pt」を奪い、11番のティイングエリアに立った。

練習ラウンドでは「打ちやすいから」とずっと3Wで打っていたなのに、欲が出た。「1Wで打ったら気持ち悪くなって。(バーディは)獲ろうと思って獲れるものじゃ無いし、そこからいつも通りにしようと思った」。11番をパーで終え、スコアをポイント換算するのをすぐに止めた。

欲を押し込める41歳(撮影/大澤進二)

後半2番(パー5)でも、7mのイーグルパットがカップをかすめたとき「イーグルなら5pt!」と頭をよぎった。「バーディ2個半、もっと打っとけばよかった」という思いをこらえ、バーディ奪取。18ホール、ボギーを叩くことなく7バーディで「14pt」。首位と1pt差の3位につけた。

今季のツアー出場権はQTランキング30位。推薦出場の前週「中日クラウンズ」に続き、2戦目だ。「先週はショットの状態が良かったのでもっと行きたかったけど、かみ合わなかった」と31位。「今週ちょっとでも、かみ合ってくれたら」と好調のパターを武器に上位を目指す。

ボギーを打っても、バーディひとつで順位が大きく変わるポイント制。「欲を抑えて、頑張ります」。悪魔のささやきの怖さを、何度もツアー初優勝に迫った41歳はわかっている。(群馬県安中市/谷口愛純)

© 株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン