長渕剛さんが発症の「肺気胸」 突然の胸の痛みや呼吸困難を引き起こす… 10~20代の痩せ型長身男性と60代以上が多く発症 医師が解説

シンガーソングライターの長渕剛さん(67)が肺気胸を発症し、4週間の療養を公表した。

肺気胸とはどんな病気なのか。
神奈川県立循環器呼吸器病センターの小倉高志所長に聞いた。

風船の様に膨らんだ“肺嚢胞”が破裂

ーー肺気胸とは?

若年者の場合は、肺の中に「肺嚢胞」という風船のような空気の袋ができてしまい、それが破裂することで発症することが多いです。

肺嚢胞が破裂すると、胸腔に空気が出て、肺がしぼんでしまいます。

過激な運動をしたから破けるわけではなく、原因を特定するのは難しい病気です。

ーーどういう人がなりやすい?

2つの年代層に分かれていて、10代から20代ぐらいの痩せ型で高身長の男性に多いです。

特に肺の病気を持っていなくても発症します。

もう1つは、60代以上の人です。
この層は、肺の病気があることが多いです。肺に弱い部分があれば簡単に発症してしまいます。

タバコを吸っていたり、肺気腫がある人は気胸になりやすく、再発率も高いです。

胸の痛みや呼吸困難

なんらかの原因で肺に穴が開き、肺が縮んでしまう肺気胸。
突然発症し、胸の痛みや呼吸困難などを引き起こすという。

ーーどういった症状?

突然の胸痛や呼吸困難に見舞われます。

程度にもよりますが、息苦しいとか、急に背中が痛くなったり、激しい咳が急に出たりします。

突然発症することが肺気胸の特徴です。

ーー回復にはどれくらい時間が必要?

気胸の治療は、「様子をみるだけ」という時と、「針で空気を抜く」場合があります。

本当にひどい時は、肺から空気の漏れが止まらないので、胸腔が著しく膨らみ、心臓を圧迫してしまいます。

これは命に関わるので、ドレーンという細い管を胸腔に入れて、溜まった空気を抜きながら肺を広げる胸腔ドレナージを行います。

これをすればだいたい1週間ほどで肺が膨らむので、空気が漏れていないことが確認できればドレーンを抜いて、10日ほどで退院となります。

しかしそれで効果がない時は、薬剤を入れたり、自分の血液を入れて癒着させます。
これを胸膜癒着療法と言いますが、これでもダメな時は内視鏡で手術を行います。

重い物は持たない、飛行機を控える

一般的に女性よりも男性に起こりやすい病気だが、発症した場合は胸に圧力がかからないよう力まないことが大事で、気圧の変化も避けた方が良いという。

ーー気胸と診断されたら?

発症した後は胸腔に圧力がかからないように重いものを持ったり、力まないことが大事です。
便秘の人は力まないよう薬を飲むなどの対応も必要です。

また、ダイビングや飛行機など、気圧の変化があると悪化しやすいので、気胸を発症した直後は、国際線は大体1カ月、国内線は2週間ほど控えるようアドバイスしています。

高齢者などで肺気腫などの持病がある人は、激しい咳をした時に気胸が起きる場合があるので、基礎疾患の治療をしっかりとしましょう。

ーー治療後は?

怖い病気ではありませんが再発しやすいので、自宅で安静にして再発しないか様子をみます。

長渕さんの場合は声を出す仕事なので4週間ぐらいかかるということだと思います。

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