松本山雅戦「無敗【大宮アルディージャ】に何が起こったか?」(1)長澤監督「システム変更」と小島幹敏、浦上仁騎「胸中」を激白

王者の大宮アルディージャが10位の松本山雅をホームに迎えた。撮影/重田航

今季、J3リーグの中で無敗街道を疾走する大宮アルディージャ(以降、大宮)は、同リーグの沼にハマり込んでしまった松本山雅FC(以後、松本)をホームに迎えた。
4連勝を狙って一人旅を実行しつつあった大宮を観戦しにNACKスタジアム大宮に出かけた私は、昨シーズンの崩壊した守備を再び見せられている感覚に陥った。このコラムでは、大宮の守備の何が問題だったのかを探りたい。

5月6日、明治安田J3リーグ、第13節、大宮は松本に0-2で敗れる結果になった。
サッカーは紙一重の攻防の積み重ねで勝敗が決まる。「あのシーンで得点していれば」という「たられば」を、つい言いたくなるスポーツだ。そういった意味で、大宮には前半、何度も決定的な得点シーンがあった。
前半を0-0で折り返した両チームだったが、大宮には得点チャンスが確かにあった。19分には、左ウイングバックの泉柊椰がエンドラインに入り込んでマイナスのクロスをあげる。ペナルティエリア中央に侵入してきたフォワード(以後FW)の藤井一志のヘディングシュートは、ゴールキーパーの大内一生に阻まれる。

さらに、39分には、泉が左サイドからのフリーキックを杉本健勇が頭で合わせるが、ボールはクロスバーを直撃して弾かれる。また、42分には杉本がこぼれ球を左足でシュートするが、ボールはゴールポスト脇を外れていく。

左ウイングバックの泉柊椰  撮影/重田航

76分の「システム変更」直後の失点

前半の大宮の守備は、「3-5-2」のフォーメーションに従って、リトリート(相手にボールを奪われた場合、すぐに自陣に戻り、守備ブロックを形成して守る守備)した場面では最終ラインを5バックにして「5-3-2」で守る。松本がボールを下げれば、大宮の最終ラインはしっかりとラインを上げてくる。定石通りの堅い守備を見せていた大宮。しかし、76分にシステムを「4-4-2」の4バックに変えてから大宮の守備陣に“ほころび”が見え始める。

長澤徹監督は、試合に変化を持たせようとしてシステムを変えた。後半途中からのシステム変更は、この試合に限ったことではない。

システム変更に関してアンカーの小島幹敏は「タイミング的にはシステムを変えた直後の失点でしたが、攻守においてそれぞれのシステムの良さがありますし、それは自分たちではどうこうできないので、その中でやるしかありません」と話す。
またストッパーの浦上仁騎は「システムが変わったときにどう守るか、もっと共有できていないといけない」とシステムの変化に選手たちがすぐに順応できなかったことを告白するのだ。

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