メタノール製造装置の保守管理を極める技術者 中国海南省

メタノール製造装置の保守管理を極める技術者 中国海南省

発電機の振動を検査する鍾国強さん。(2023年7月10日撮影、海口=新華社配信/任志達)

 【新華社海口5月9日】中国海南省の化学メーカー、海洋石油富島で働く鍾国強(しょう・こくきょう)さん(38)は2007年、ファインケミカルの専攻課程を卒業すると同社に入社した。社歴17年になる彼は現在、技術専門家として年間60万トンを生産するメタノール製造装置を担当している。

 メタノールは化学品の重要な原料であり、同社で鍾さんが担当する製造装置は、海洋ガス田から送られる炭素含有量が豊富な天然ガスを原料にメタノールを製造しており、鍾さんは装置の安全運転のための保守管理に従事している。

メタノール製造装置の保守管理を極める技術者 中国海南省

同僚に指示を出しながら設備を点検する鍾国強さん(左)。(2021年3月10日撮影、海口=新華社配信/任志達)

 日々繰り返される巡回点検、装置のメンテナンス、パラメータ調整、応急潜在リスク調査が、鍾さんの固定業務であり、これまで17年間、どの部署でもスキルをしっかりと磨き、今では同社の技術専門家となっている。

 鍾さんは「技術者として、現場で何か技術的な問題が起きれば、すぐに駆けつけて解決法を見つけなくてはならない」との考えを持ち、問題解決の最善の方法は「やってみること」だと常々口にしている。

メタノール製造装置の保守管理を極める技術者 中国海南省

現場で従業員の訓練をする鍾国強さん(左から2人目)。(4月16日撮影、海口=新華社配信/任志達)

 ドイツ企業から輸入した変圧吸着水素製造装置はメタノール製造の基幹装置だが、この装置に使用されている輸入品の吸着剤は高価なため、同社は国産吸着剤に置き換えることで製造コストを削減しようと考えた。

 しかし、吸着剤を置き換えたところ、装置を運転するたびに水素流量に大きな変動が発生し、いつまでも最適運転状態に到達できず、装置の安全かつ安定した運転にも影響が及んだ。鍾さんは、装置の運転係数の調整と改善を繰り返すことでこの難題を解決し、さらに製品の水素ガス流量を増やした。これにより、同社には年間約120万元(1元=約22円)の新たな経済的利益が生まれた。

メタノール製造装置の保守管理を極める技術者 中国海南省

鍾国強さん(中央)と同僚。(2021年3月10日撮影、海口=新華社配信/任志達)

 鍾さんは20以上の優れた装置運転法を相次いでまとめ、中国におけるこの分野の技術的ギャップを埋めた。さらに、鍾さんが担当する年間生産量60万トンのメタノール製造装置は674日間の長周期運転を実現し、国内の装置運転周期の業界記録を更新した。(記者/陳子薇)

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