95歳ドクター・中松氏 衆院補選の立民勝利「自民党を反省させるのはいいこと」も政権奪取には疑問符

発明家のドクター・中松氏(95)が9日、都内の東京国際フォーラムで、議長を務める「世界天才会議」の開会式に臨んだ。1986年に米ニューヨークで初開催され、38回目となる今年はモロッコ、中国、タイ、マレーシアなど10の国・地域から〝天才〟たちが集結。特に台湾からは80人が来日した。現在の体調面、政治、新発明などについて熱く語った。

テープカットを終えた中松氏は、世界各国から新技術や製品、ビジネスモデルなどを展示・発表する会場の様子を頼もしげに見つめた。日本からは「調理器具」「パンツ用裾止めバンド」「針出来型押しピン」などの発明品が展示。「世界中からたくさんの方が駆けつけてくれて感謝しています」とうなずいた。

今年1月に心臓を手術した。「まだ体力は戻り切っていないが、体調は良くなっています」と笑顔で話した。新発明への情熱は尽きない。「関心を持っているのはスマホ、EV(電気自動車)、ドローン(無人航空機)。ガソリン車も物足りないね。EVはトラブルが多く、火災が起きてしまうほど幼稚なもの。ドローンはもっと重い荷物をより遠くに運べるはず。私が発明しますよ。ムフフ」と、不敵に笑った。

世間に目を向ければ4月29日に行われた衆議院補欠選挙に関心を持つ。立憲民主党が3選挙区すべてで勝利し、自民党は候補者を擁立した島根1区、擁立を見送った東京15区と長崎3区の議席を失った。

中松氏は政治資金問題を挙げ「国民が自民党に罰を与えた、ということ。自民党が本当に反省できるのか」と述べた。立民は自民が擁立を見送った選挙区でも「カネと政治」の問題を訴えることで、〝自民にお灸を据える〟受け皿となったといい、その点を戦略的には評価しながらも「野党は要するに他人をけなすけれど、自分たちが立派な政治をできるか、と考えると以前(の民主党政権時)を考えても疑問符がつく。自民党を反省させるのはいいことだが、一番いいのは自民党がもっと真面目になって、国民のための政治を行うこと」と話した。

9月に予定される自民総裁選では上川陽子外相、高市早苗経済安全保障担当相らの声が上がり、初の女性総理誕生への期待も高まりつつある。中松氏は「一番いいのは私が総理になることなんだがね。ムフフ」とまんざらでもない様子で色気を見せるも、「まあ誰でもいいから、とにかく真面目であることが重要だ。国民のことを考えて政治をしてくれれば」と続けた。

「世界天才会議」は10日まで開催。今回は中松氏の出生時、幼少時、東大在学時、海軍機関学校在籍時、終戦後の活躍などを伝える当時の写真パネル、テキストパネルを展示。「私のことを知らない人が増えてきたからね」と説明し、「なぜこれだけの人が世界天才会議のために来日するのか?東京が世界の発明の中心だからだ。ここにエジソンを超えた、ドクター・中松がいるからだ」と強烈な自負を口にした。6月に96歳の誕生日を迎えるが、果たしたい夢は尽きない。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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