【ヴィクトリアマイル/全頭診断】2強の片方に“勝率0%”の壁 穴妙味は「3.0.0.0」条件期待の想定6人気以下

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今週は東京競馬場で、第19回ヴィクトリアマイル(GI、芝1600m)が行われる。世界を股にかけて活躍するナミュールと4歳世代のトップグループ・マスクトディーヴァの2強ムードが漂う一戦だ。

ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬15頭の全頭診断を行う。

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■ヴィクトリアマイル2024 出走予定馬全頭診断

・ウンブライル

重賞未勝利と実績は物足りなく映るが、当舞台のNHKマイルCで2着に入るなど上級クラスで好勝負が目立つ馬。馬体重が絞れたことで切れ味が増した前走阪神牝馬Sはマスクトディーヴァを追い詰めたように中身のある一戦だった。12-2月の冬競馬を除いた際の成績は【2-3-0-0】。5月の本レースは絶好の舞台と言えるし、ノーマークにはできない。

・キタウイング

3歳春以降は精彩を欠く競馬が続いている。一変を望むのは厳しい注文と言えそうだ。

・コンクシェル

逃げる競馬では【3-0-0-0】と負け知らず。同型のスタニングローズはマイルへの対応、フィールシンパシーは中山牝馬Sでハナ争いを制しているだけに今回も得意の形に持ち込める可能性が高そうだ。東京マイルは昨年春に1分32秒4の好時計を記録。Bコース替わりの馬場を味方につければ逃げ粘りが期待できる。

・サウンドビバーチェ

近2走は勝ち馬と1秒以上離される競馬続き。GIでの変わり身は望み薄か。

・スタニングローズ

久々の実戦となった前走大阪杯。牡馬相手に厳しいローテーションにも思えたが、逃げる競馬で勝ち馬と0秒5差ならまずまずの復帰戦と言えるだろう。秋華賞やオークスのパフォーマンスからマイルの距離は短い印象も、牡馬混合重賞で大崩れしていないのは大きなアドバンテージ。何らかの印は必要か。

・テンハッピーローズ

古馬になって以降、重賞では【0-0-0-4】掲示板内なし。リステッド競走の芝1400m替わりで狙いたい。

・ドゥアイズ

2番人気に支持された前走阪神牝馬S。結果は5着と、重賞のマイル戦における切れ味不足を露呈してしまった。斤量55キロ以上では【0-0-0-4】と厚い壁に阻まれている印象。狙うなら夏の洋芝を使われたタイミングか。

・ナミュール

この馬で強調したいのは富士S。芝1600m以上の条件で施行された過去の同レースにおいて、勝利を収めた牝馬はトリプティク(GI9勝の外国馬)、シンコウラブリイ(マイルCS勝ち馬)、ノームコア(GI2勝)、ソングライン(GI3勝)とその時代を彩った名牝がズラリと並ぶ。さらに付け加えると、過去10年のヴィクトリアマイルにおける古馬混合マイルGI勝ち馬は【4-1-1-0】。牝馬同士なら力が違いすぎる、というのが現状の見解だ。

・ハーパー

有馬記念、大阪杯と牡馬相手に使われた近2走。いずれも結果は振るっておらず、ハーツクライ産駒の覚醒パターンに入るにはもう少し時間がかかりそうだ。当舞台の重賞勝ちがある点は魅力も、これまでパートナーを務めたC.ルメール、川田将雅がいずれも騎乗しないことから、3着のゾーンに据えるのが精いっぱいか。

・フィアスプライド

この馬で注目したいのはローテーション。距離短縮ローテでは【2-1-0-1】、唯一の馬券外も牡馬相手の関屋記念4着なら評価は下がらない。前走中山牝馬Sは距離延長ローテかつ早仕掛けで脚を使い切ってしまった印象。東京芝1600mのGIで12戦連続馬券内のC.ルメール騎乗も含め、不気味な雰囲気を漂わせる。

・フィールシンパシー

ターコイズS、福島牝馬Sと先行する競馬で連対をはたした馬。コンスタントに使われるなかで大崩れなく走っているタフネスぶりには頭が下がる思いだ。一見すると物足りない実績にも映るが、東京芝1600mは1分31秒9かつ上がり3F33秒4での勝利実績がある舞台。前述の2レースで先行し、ともに掲示板内を確保した馬には18番人気3着馬ミナレットがおり、夢馬券の希望を抱きたくなる1頭だ。

・マスクトディーヴァ

マイル2戦目の前走阪神牝馬Sはスローだったとはいえ、4番手追走と一定の先行力を証明。終始余裕の手応えで後続を完封した。東京新聞杯でハイペースの東京芝1600mを経験しているのは好材料。阪神牝馬Sの勝ち馬は過去10年で【0-1-0-9】と不振傾向にあるが、今年のメンバーレベルなら評価は自然と上がってくる。

・モリアーナ

渋った馬場でのレースが続いていたが、良馬場替わりの前走は上がり3F32秒9の脚。東京マイルの新馬戦で上がり3F33秒0を使ったときから感じていたが、やはりこの馬は瞬発力勝負でこそ真価を発揮するタイプだ。ナミュール、マスクトディーヴァとの比較では分が悪い印象も、上位進出の可能性に警戒したい。

・ライラック

前走阪神牝馬Sは関西圏への遠征でマイナス16キロの馬体重減。そこから短期間でのリカバリーを強いられること、非根幹距離に良績が集中している点から上積み材料は乏しい印象だ。

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UMAJIN.netより一部編集・転載(2024年5月9日 19:55公開の記事

著者プロフィール

田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家
競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。

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