史上初! 7人制ラグビー選手&レフリー両方での五輪出場の桑井亜乃氏、本誌に語っていた“ならでは”の「悩み」

2023年9月、杭州アジアカップでレフリーを務めた桑井亜乃氏(写真・西村尚己/アフロスポーツ)

国際統括団体ワールドラグビー(WR)は5月8日、7月26日に開幕するパリ五輪での、7人制ラグビーのマッチオフィシャル(審判団)23人を発表。日本からは、桑井亜乃レフリーが選出された。

桑井氏は元セブンズ女子日本代表選手で、2016年のリオデジャネイロ五輪に出場。身長171cmの長身を生かしたパワフルな突進で、地元・ブラジルとの対戦では日本女子として五輪初トライを決めた。セブンズでの通算キャップ数は32で、15人制でもキャップ1を獲得している。

WRによれば、選手とレフリーの両方で五輪に出場するのは、世界の男女通じて初の快挙だという。

そんな桑井氏がラグビーと出会ったのは、中京大を卒業した22歳のとき。2015年、本誌に初登場したときには「帯広農業高校時代は夏は陸上の円盤投げ、冬はアイスホッケーで、年中、スポーツをしていました。そんなとき、体育の授業でラグビーに出会ったんです。もう楽しくて。大学を卒業して陸上を引退するタイミングで転向しました」と語ってくれた。

よほど楽しかったのか、はたまた異種目のスポーツで鍛えられていたからなのか、ラグビーの才能はすぐに開花。わずか4年あまりの競技歴で、五輪出場を果たした。

フィジカルコンタクトが多い競技である以上、生傷が絶えなかった。

「顔に擦り傷やあざがしょっちゅうできるから、目の下が隈のようになっている(笑)。ちょっとした悩みだけど、いましかできないことをやっているんだから気にしていられません」とも打ち明けていた。

東京五輪を逃したあとの2021年8月に引退。その後、もう一度、五輪の舞台に立ちたいからと、審判を目指すことに。そして2年後には念願の資格を取得し、パリの舞台に立つこととなった。

桑井氏は日本ラグビー協会を通じて、《このたび、2024年パリオリンピックのマッチオフィシャルに選出されましたことを大変うれしく思っております。選手から3年前にレフリーに転向したときから、オリンピックでピッチに立つことを目標に取り組んできました。(中略)今まで準備してきたことをオリンピックの舞台で発揮すること、プレーヤーのパフォーマンスを最大限に引き出せるように、私もベストを尽くして参ります》とコメントしている。

パリ五輪には、男女ともセブンズが出場するが、“第2の人生”をスタートした桑江レフリーにも、選手とともに注目だ。

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