【厚労省】調剤外部委託の特区実施要領を通知/特区事業開始の素地整う

【2024.05.09配信】厚生労働省は5月9日、「国家戦略特別区域調剤業務一部委託事業の実施要領」を発出した。これにより大阪での特区事業実施の素地が整うことになる。

厚労省医薬局は令和6年3月29日付けで、国家戦略特別区域法の一部を改正する命令の趣旨と改正内容について、すでに通知していた。

これを受け、改正命令及び改正命令による改正後の厚生労働省関係国家戦略特別区域法第二十六条に規定する政令等規制事業に係る省令の特例に関する措置を定める命令(共同命令)に係る「国家戦略特別区域調剤業務一部委託事業の実施要領」をこのほど定めた。

まず、「調剤業務一部委託事業」について、薬局開設者が、その薬局で行う調剤の業務の一部(一包化に係る部分に限る)を他の薬局で行うことを当該他の薬局の薬局開設者に委託する事業をいうと定義。
国家戦略特別区域会議が定めた国家戦略特別区域計画について内閣総理大臣の認定を受けた場合において、薬局開設者間で、当該委託による保健衛生上の危害の発生及び拡大を防止するため、当該委託に係る契約その他の取決めにおいて対象業務の実施に関する体制、責任、遵守事項等が定められていることをその薬局の所在地の都道府県知事等が認めたときは、薬機法の規定にかかわらず、当該薬局開設者は対象業務の委託をすることができるものとした。

事業の実施範囲は、区域計画に定められた区域内。「委託薬局」と「受託薬局」が同一3次医療圏内にあることが求められる。

対象業務は、一包化業務。ただし、一包化業務であっても、患者が直ちに必要とする場合に係るもの及び委託薬局で調剤の鑑査を行うことが困難であるもの(散剤の一包化等)については、対象業務の対象外とする。

事業の実施の判断については、委託薬局開設者及び受託薬局開設者は、調剤業務一部委託事業の実施の可否について、その薬局の管理者及び当該薬局に従事するその他の薬剤師の意見を聴いた上で、適切に判断する必要がある。委託薬局開設者及び受託薬局開設者は、薬局管理者等に対し、調剤業務一部委託事業の実施を強要してはならない。

「委託の実施についての説明及び同意」も規定。委託薬局開設者は、対象業務の委託の実施について、あらかじめ患者等に説明を行うとともに、当該患者等から同意を得る必要がある。

医療安全の確保については、対象業務の委託により医療上の安全を害することがないよう細心の注意を払うことを規定。当該業務の実施に当たっては、対人業務の充実の観点から、患者の医薬品使用上の安全について特に留意の上、服薬指導等の対応を充実させる必要があるとした。

「地域への医薬品提供の確保」についても、以下の通り記載。
(1)医薬品提供体制の確保
委託薬局開設者は、委託薬局における対象業務の実施に必要な機能の喪失や医薬品の在庫数量の減少等により、地域住民に必要な薬局サービスが提供できなくなることがないよう必要な体制を確保する必要があること。
(2)業務の継続性の確保
委託薬局開設者及び受託薬局開設者は、それぞれの責任において対象業務の継続性を確保し、地域の医薬品提供に影響が生じることがないようにすること。

受託薬局の選定については、委託薬局開設者は受託薬局において安全かつ確実に対象業務を実施できる体制が確保されていることについて、実地の調査、受託薬局開設者から提供される情報、ホームページ等の公開情報等に基づき、適格性の確認を行うことを求めている。

契約等の締結に当たっては、委託薬局及び受託薬局それぞれの管理者が当該契約等の内容について承諾していることを、契約書等において明確にする。
当該事業の実施に当たっては、委託薬局開設者及び受託薬局開設者のいずれかが、取引上の優越的地位に基づく不当な働きかけを行うことがないようにすること。一方に取引上の地位の優位性が認められる場合には、医薬品の品質及び医薬品の提供に影響を与える可能性について考慮する必要がある。
なお、同一法人内の薬局間において、処方箋を受け付けた調剤業務の一部を他の薬局で行う場合であっても、それぞれの薬局の体制、責任、遵守事項等を明確にする必要があることから、法人が異なる薬局開設者間で対象業務の委託を行う場合と同様に考えるべきこと。当該業務の実施に必要な事項については、あらかじめ薬局間における契約に準ずる覚書等により定めておく。

再委託を禁止する。受託薬局開設者は、その薬局で行う対象業務を他の薬局の薬局開設者に再委託することはできないこととした。

そのほか、「都道府県知事等による確認等」や、都道府県知事等が「国家戦略特別区域調剤業務一部委託事業実施薬局確認簿」に記載する事項も規定した。

また、遵守すべき事項の詳細は以下の通り。

1 対象業務の実施体制及び責任に関する事項(第1号関係)

(1)委託薬局開設者に求められる体制整備
① 必要な体制の構築及び見直し
委託薬局開設者は、対象業務の実施に当たり、当該業務に係る安全性の確保及び質の適切な管理に必要な体制を整備するとともに、必要に応じて当該体制を見直すこと。
② 手順書の作成
委託薬局開設者は、対象業務の実施に当たり、業務の効率化を図るとともに安全性を確保するため、以下に掲げる事項を定めた手順書を作成し、その薬局に備えておくこと。なお、手順書に記載する実施事項については、「2対象業務の実施に関し遵守すべき事項」等を参照すること。
ア 対象業務の委託に係る実施事項
・処方箋ごとの委託の可否の判断
・患者等への説明及び同意の取得
・受託薬局への作業内容の指示(委託薬局から受託薬局に提供する情報を含む。)
・受託薬局の作業完了の報告の受領
・作業完了品の受領(受託薬局から患者宅等に薬剤を直送する場合を除く。)
・作業完了品の検品及び記録
・薬剤の薬袋(薬剤師法(昭和35年法律第146号)第25条に規定する容器又は被包をいう。以下同じ。)への所定事項の記載
・調剤の鑑査並びに記録の作成及び保管
イ その他手順書に記載すべき事項
・薬局開設者及びその薬局の管理者が対象業務の実施に関し協議すべき事項
・委託薬局による受託薬局の業務プロセスの確認方法(定期的な確認を含む。)
・患者情報漏えいに係る対策
・業務遂行上の問題が発生した場合に必要な対応
・業務の受委託に係る記録の作成及び保管

(2)受託薬局開設者に求められる体制整備
① 必要な体制の構築及び見直し
受託薬局開設者は、対象業務の実施に当たり、当該業務に係る安全性の確保及び質の適切な管理に必要な業務体制及び構造設備を十分に整備し、必要に応じて当該業務の実施体制を見直すこと。
② 手順書の作成
受託薬局開設者は、対象業務の実施に当たり、業務の効率化を図るとともに保健衛生上の安全性を確保するため、以下に掲げる事項を定めた手順書を作成し、その薬局に備えておくこと。
ア 受託薬局に求められる体制整備に関する事項
・対象業務の実施体制等に関する自己点検
・対象業務に係る作業に従事する薬剤師等の教育訓練
・対象業務を行うための機器の整備(メンテナンス等)
イ 対象業務の実施時に求められる業務に関する事項
・委託薬局からの作業内容の指示の受領
・一包化業務に係る作業の実施
・作業完了の報告
・委託薬局における調剤の鑑査の実施(受託薬局から患者宅等に薬剤を直送する場合に限る。)
・納品又は患者宅等に薬剤を直送する場合における配送
・一包化業務で使用される医薬品の管理
・記録の作成及び保管
ウ その他手順書に記載すべき事項
・薬局開設者及びその薬局の管理者が対象業務の実施に関し協議すべき事項
・患者情報漏えいに係る対策
・業務上の問題が発生した場合に必要な対応(委託薬局への連絡方法等を
含む。)
・委託薬局による定期的な対象業務の確認への対応
③ 対象業務を行うための機器等の設置及び維持管理
ア 受託薬局開設者は、対象業務の実施に当たり、高い安全性及び効率化を
可能とする性能を有する以下の機器等を設置する必要があること。
・錠剤分包機
錠剤カセットへの錠剤の入れ間違いを防止する機能及び錠剤カセットの機器へのセット間違いを防止する機能を有すること。
・一包化の鑑査支援装置
確認すべき内服用固形剤の判別が可能となる全包の画像を取得・提示できる機能その他薬剤師の鑑査を支援する機能を有すること。
イ 受託薬局開設者は、関連法令を遵守の上、その薬局の構造設備及び対象業務に係る作業で使用する調製設備及び機器等について精度保持のための維持管理を行うとともに、これらの製造業者等による定期的な保守点検を受けること。維持管理及び保守点検に関する記録については、必要に応じ、委託薬局に提供できるようにしておくこと。
④ オーダー情報に基づき正確な作業を行う体制
受託薬局開設者は、期間内に正確な作業を行うため、委託薬局から提供されたオーダー情報(対象業務について、委託薬局が受託薬局に指示した作業内容に関する情報をいう。以下同じ。)に基づき、緊急時等に備え適切な対応を行うことができる体制を整備すること。
⑤ 組織体制
ア 受託薬局開設者は、組織図等により、その薬局の全ての従事者の役割及び責任について明確にすること。
イ 受託薬局開設者は、対象業務の実施に当たり、当該業務以外の薬局における業務量を考慮した上で、適正な従事者数を配置すること。対象業務を行うその薬局の従事者が、当該業務以外の業務も担当する場合は、同時に両方の業務を行わないこと。対象業務を行う従事者の責務については、業務開始前に委託薬局へ報告し、これを変更する場合は事前にその旨の報告を行うこと。
⑥ 教育訓練
ア 受託薬局開設者は、対象業務の実施に関し教育訓練を受けた従事者を適正に配置すること。
イ 受託薬局開設者は、対象業務を行う従事者に対して、教育訓練を定期的に受講させること。
⑦ 情報の適切な取扱い
ア 受託薬局開設者は、医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版」(令和5年5月))等を遵守の上、必要なセキュリティ対策を施す必要があること。
イ 受託薬局開設者は、委託薬局開設者に対し、対象業務に係る安全性の確保及び質の適切な管理に必要な業務体制が整備されていることについて、適切に情報を開示する必要があること。

(3)患者の医療上の安全の確保
委託薬局開設者及び受託薬局開設者は、調剤業務一部委託事業の実施に当たり、薬局の機能及びサービスに量的又は質的な低下が生じることにより、患者の医療上の安全に支障をきたすことがないようにすること。

(4)責任の所在の明確化
① 調剤の責任
調剤の責任については、原則として、処方箋を受け付けた委託薬局開設者及びその薬局の薬剤師にあること。委託薬局開設者が受託薬局開設者へ委託する対象業務以外の一連の業務(患者の服薬状況や薬剤服用歴等に基づく調剤の可否の判断、疑義照会、調剤設計、各種製剤及び調製、調剤した薬剤への所定事項の記載、調剤の鑑査、薬剤師による処方箋への記名押印又は署名等)、調剤の際に行う薬剤情報提供、服薬指導及び服薬支援等については、委託薬局の薬剤師が実施すること。
② 対象業務の受委託に関する責任
対象業務の受委託に関する責任は、委託薬局開設者及び受託薬局開設者並びにそれぞれその責任役員及びその薬局に係る薬局の管理者にあること。

2 対象業務の実施に関し遵守すべき事項(第2号及び第3号関係)
(1)委託薬局が対象業務の実施に関し遵守すべき事項
委託薬局は、手順書に基づき業務を実施すること。また、当該業務の実施に当たっては、以下の事項を遵守すること。
① 処方箋ごとの委託の可否判断
ア 委託薬局は、対象業務の委託について、当該薬局の薬剤師が処方箋ごとに検討を行い、当該委託が可能であると判断した場合にのみ実施する必要
があること。
イ 委託薬局の薬剤師は、処方箋の受付ごとに、患者の状態や処方内容を薬学的に評価して薬物療法の検討を行った上、対象業務の実施の可否を適切に判断すること。当該処方箋において、対象業務に係る医薬品以外の調剤すべき医薬品については委託の対象とはならず、患者の安全な服薬確保の観点から適切に判断を行い対応する必要があること。
ウ 以下に掲げる場合には、対象業務の委託は不適切であるため認められないこと。半錠等がある場合には、委託薬局による鑑査の可否について考慮すること。
(ⅰ)一包化の指示があった処方箋において、内服用固形剤のみの処方であるが、散剤が含まれている場合
(ⅱ)患者に対し、速やかに薬剤交付を行うことが必要な場合(急性疾患に係る薬剤を調剤する場合、患者から遅滞なく薬剤交付が求められている場合等)
(ⅲ)患者の状態が不安定で処方変更や追加が考えられる場合
(ⅳ)麻薬、覚醒剤原料、放射性医薬品、薬局間で譲渡することが認められない医薬品の調剤の場合
(ⅴ)厳格な温度管理が必要な医薬品の調剤において、温度管理の適切な実施を確認できない場合
(ⅵ)委託に関し患者等の同意を得ることができない場合
(ⅶ)その他薬剤師が薬学的に不適切であると判断した場合
② 患者等への説明及び同意
ア 委託薬局は、処方箋を持参した患者等に対し、対象業務の委託に関する以下に掲げる事項について文書による説明を行うとともに、当該患者等から同意を得ること。
(ⅰ)調剤業務一部委託事業を実施する旨
(ⅱ)調剤の責任については、原則として、処方箋を受け付けた委託薬局開設者及びその薬局の薬剤師にあること
(ⅲ)受託薬局の名称や所在地等
(ⅳ)薬剤交付までに一定の時間を要すること(交付予定日を含む。)
(ⅴ)薬剤の受渡しの方法
(ⅵ)受託薬局へ提供される情報の内容
(ⅶ)同意については、患者等からの申出により、いつでも撤回及び変更ができること
(ⅷ)その他対象業務の委託に関して必要な内容
イ 委託薬局は、患者等からアの同意を得た場合において、対象業務の委託に関する事項を記載した文書に当該患者等が署名した上、当該文書を適切に保管すること。
③ 委託薬局から受託薬局への作業内容の指示
ア 委託薬局は、手順書に従い作業内容の指示を行うこと。その際、委託薬局は、対象業務に係る作業の安全な実施のため、受託薬局に正確で具体的な情報を伝達するよう留意すること。
イ 委託薬局から受託薬局に提供される情報は、個人情報を適正に保護するため、対象業務の委託を行う上で必要最小限の項目とすること。委託薬局は、個人情報について関連法令の規定に従い適切に取り扱い、当該情報の漏えいリスクを予見した上、防止手順等の対策を講じること。
ウ 委託薬局は、対象業務の実施のために必要なイの情報について、転記ミスを防止する観点から、原則として電子化された情報により受託薬局に伝達すること。
エ 委託薬局は、受託薬局においてオーダー情報に基づき適切に業務が実施されたか否かについて、手順書に従って確認を行うこと。当該確認は、オーダー情報ごとに作業工程の実施内容を確認できる受託薬局が提供するデータ、受託薬局による対象業務の実施体制等の自己点検結果に係る報告書、受託薬局から独立した事業者等による実地査察の結果等を用いることにより実施すること。
オ 委託薬局は、受託薬局から作業完了品を受領した場合には、オーダー情報に基づき適切に業務が実施されたことを示す情報について、受託薬局から文書による報告を受けること。
④ 検品
ア 委託薬局の薬剤師は、受託薬局から作業完了品を受領した場合には、作業指示に従って作業が完了しているかについて確認すること。
イ 委託薬局の薬剤師は、検品に当たり、オーダー情報及び作業完了品について、取り違いが生じないよう適切に確認すること。作業完了品について疑義が生じた場合、速やかに受託薬局に照会を行うこと。
ウ 委託薬局の薬剤師は、検品において作業完了品に不良品等を発見した場合、当該不良品等に関する情報を記録するとともに、受託薬局にその内容を伝え、速やかに再作業を指示すること。その際、受託薬局から納品された当該作業完了品は、手順書に従い受託薬局に返還すること。ただし、再作業により患者に不利益が生じることが想定される場合には、委託薬局において当該患者に係る対象業務の委託を継続するか検討した上、当該委託の継続が不適切であると判断した場合は、直ちに委託薬局において必要な対応を実施すること。この場合においては、委託薬局及び受託薬局双方の責任が明確になるよう必要な事項を手順書等に定めておくこと。
エ 委託薬局は、対象業務の実施に当たり不具合等が発生した場合には、その原因を検証の上、業務方法を改善するための取組を実施すること。当該検証及び業務方法の改善等については報告書を作成し、保管すること。
オ 委託薬局は、検品の結果について、日時・内容・実施者等の情報とともに文書等に記録した上、受託薬局に提供すること。委託薬局は、検品に関する記録(受託薬局から提供・報告を受けた各種情報を含む。)を調剤録とともに適切に保管すること。
⑤ 薬剤の薬袋への必要事項の記載
委託薬局は、関連法令の規定に従い、調剤した薬剤(検品完了品を含む。)の薬袋へ必要事項を記載すること。
⑥ 調剤の鑑査及び記録
ア 委託薬局は、処方箋に基づいて実施した調剤の鑑査を行うこと。当該鑑査においては、調剤された薬剤(検品完了品を含む。)、薬袋その他医薬品の適正使用に必要なものを含め、患者への交付に問題がないことを確認すること。
イ 委託薬局は、調剤の実施について処方箋に必要事項を記入の上、当該調剤を実施した薬剤師による記名押印又は署名を行うこと。
ウ 委託薬局は、対象業務の内容及び当該業務を委託により実施した旨について調剤録に記載すること。
⑦ 服薬指導等
ア 調剤した薬剤に係る情報提供、服薬指導及び服薬支援等は、委託薬局の薬剤師が実施すること。
イ 委託薬局の薬剤師は、医薬品の適正使用及び医療安全の確保のため、調剤した薬剤に係る服薬指導等を適切かつ確実に実施すること。
⑧ 受託薬局から薬剤を患者宅等に直送する場合
ア 委託薬局は、受託薬局に対し、届け先の情報並びに薬袋の作成に係る指示及び情報を提供すること。この場合、医療上の安全性及び患者の服薬アドヒアランスへの影響に留意し、薬袋の外観、デザイン、素材、様式等について事前に取り決めておく必要があること。委託薬局の薬袋を使用するなどの詳細についても、明確に指示すること。
イ 委託薬局の薬剤師は、受託薬局から提供される薬剤、薬袋等の映像を確認すること等により、遠隔により検品を実施すること。
ウ 委託薬局の薬剤師は、受託薬局において調剤した薬剤の薬袋へ記載された必要事項について、映像等により確認を行うこと。
エ 委託薬局の薬剤師は、受託薬局から提供される薬剤、薬袋等の映像を確認すること等により、遠隔により受託薬局にある薬剤の鑑査を実施すること。鑑査の実施に当たっては、その方法や作業手順について手順書に記載するとともに、当該方法等による安全かつ確実な実施について都道府県知事等による確認を受ける必要があること。
オ 委託薬局は、必要に応じて、事前に薬剤情報提供文書等を交付した後に服薬指導等を実施すること(画面に当該文書等を表示しながら実施する場
合を含む。)や、薬剤を交付した後に当該薬剤の使用方法の説明を行うこと等により、患者ごとに適切に対応する必要があること。
(2)受託薬局が対象業務の実施に関し遵守すべき事項
受託薬局は、対象業務の実施に当たっては、関連法令を遵守し、委託薬局の照会に対応できるよう記録を行い、患者が必要とする時期に薬剤を安全かつ確
実に交付するための体制を整備する必要があること。
① 作業内容の指示の受領
ア 受託薬局は、期日内に配送までの作業が完了できないと判断した場合には、速やかに委託薬局にその旨を伝達すること。その際、配送状況等を勘案した上、患者が必要とする時期に薬剤が確実に交付されることを最優先とすること。
イ 受託薬局は、手順書に従い、委託薬局から電子的に提供されたオーダー情報の内容を確認し、対象業務に係る作業を行うために必要な情報が記載
されていることを確認すること。
ウ 受託薬局は、対象業務の委託による患者の個人情報の漏えいリスクを予見し、防止手順を定めるなどの対策を講じること。
エ オーダー情報に不備が確認された場合には、受託薬局は、速やかに委託薬局にその旨連絡を行い、不備が修正されたオーダー情報の提供を受けること。
② 一包化作業に使用される医薬品
ア 受託薬局は、対象業務に係る作業において、医薬品の成分の同一性が失われることなく、当該医薬品の安全性情報等(取扱い上の注意等)に従って実施されていることを保証すること。
イ 医薬品仕入先の適格性評価
受託薬局は、医薬品の仕入先についての適切な適格性評価を行い、これについて保証すること。当該評価は手順書に従って実施し、その結果を記録した上で委託薬局に提供すること。
ウ 医薬品の仕入れ
(ⅰ)受託薬局は、対象業務に係る作業で使用する医薬品とそれ以外の調剤で使用する医薬品について、それぞれその数量を適切に把握して不足が生じないよう在庫管理を行った上、適切な数量の医薬品を仕入れること。
(ⅱ)受託薬局は、対象業務に係る作業において使用する医薬品の取扱品目を委託薬局に共有するとともに、情報提供を行うこと。
(ⅲ)受託薬局は、対象業務に係る作業において使用する医薬品の仕入れに関する記録について、委託薬局の求めに応じて提供できるよう管理すること。
エ 医薬品の保管
受託薬局は、関連法令に従い医薬品の適切な保管を行うとともに、当該保管に関する記録について、必要に応じて委託薬局に提供できるようにしておくこと。
③ 対象業務の実施
ア 受託薬局は、委託薬局から受領したオーダー情報に従い、あらかじめ定められた受託薬局の従事者により、対象業務に係る作業を実施すること。
イ 受託薬局は、委託薬局から指示された対象業務に係る作業について、自ら処方箋を受け付けた調剤業務及び他の委託薬局から指示された調剤業務に係る作業と明確に区分すること。
ウ 受託薬局は、対象業務に係る作業に使用する医薬品について、当該医薬品名、製造番号又は製造記号、及び使用期限を確認の上、当該作業を実施すること。
エ 受託薬局は、対象業務の実施に当たり、手順書からの逸脱が認められる場合には、その内容を速やかに委託薬局に報告した上、当該内容について調査した結果を記録するとともに適切に是正するための必要な措置を講じること。
④ 一包化に必要な医薬品の準備(オーダー情報に基づく準備)
ア 受託薬局は、オーダー情報に基づき必要な医薬品を準備すること。
イ 受託薬局の薬剤師は、対象業務に係る作業において使用する医薬品の使用期限及び温度、湿度、遮光等の保管状況を点検し、当該医薬品が適切に使用できる状況にあることを確認すること。とくに、分包機のカセットにあらかじめ医薬品をセットする場合における保管状況の点検については、より慎重に行うこと。点検した内容については記録を行った上、委託薬局の求めに応じて当該記録を提供すること。
⑤ 一包化の作業
ア 医薬品の記録
受託薬局は、対象業務に係る作業に使用された全ての医薬品名、メーカー名、製造番号又は製造記号、使用期限、保管条件、数量、仕入の年月日、仕入先等の氏名又は名称、住所又は所在地、電話番号その他の連絡先等を委託薬局に提供し、これらの記録を保管すること。
イ 分包機を用いた作業
受託薬局は、医薬品の種類、用法、用量、分包紙への印字内容等のオーダー情報の内容に基づき、あらかじめ準備した医薬品を使用し、分包機を用いることにより対象業務に係る作業を行うこと。
ウ 分包紙への印字
受託薬局は、オーダー情報において分包紙へ印字を行う旨の指示がある場合には、当該分包紙への印字については委託薬局から指示された印字方法により印字すること。
⑥ 薬剤師による確認
ア 受託薬局は、委託薬局からの指示に応じて対象業務に係る作業を実施するに当たっては、一包化された薬剤が委託薬局から指示された内容に従って分包されていること及び分包紙へ印字等がなされていることについて、薬剤師による確認を行う必要があること。
イ 受託薬局は、一包化の鑑査支援装置を分包した薬剤の確認作業の補助として用いること。一包化の鑑査支援装置は、確認すべき内服用固形剤の判別が可能となる全包の画像を取得・提示できる機能その他薬剤師の鑑査を支援する機能を有すること。
ウ 受託薬局は、薬剤師の目視による最終確認を行った上、委託薬局の指示内容に従って対象業務が完了していることについて保証すること。
エ 受託薬局は、薬剤師による確認において問題を発見した場合には、対象業務に係る再作業を行うこと。
⑦ 作業完了報告
ア 受託薬局は、オーダー情報に基づく対象業務に係る作業が確実に行われ、作業完了品が完成した後に、委託薬局に対し、速やかに当該作業が完了した旨の連絡を行うとともに、当該作業のプロセス及び結果に関する記録を提供すること。
イ 受託薬局は、作業完了品の到着予定日時について、委託薬局へ電話等の迅速かつ確実に伝達可能な方法により連絡すること。
⑧ 配送及び納品
ア 受託薬局は、調剤された薬剤の配送等について、「調剤された薬剤の薬局からの配送等について」(令和4年3月31日付け厚生労働省医薬・生活衛生局総務課・監視指導・麻薬対策課事務連絡)に基づき実施すること。配送の記録は保管すること。
イ 受託薬局は、委託薬局へ作業完了品を配送により納品する場合において、受託薬局による最終確認が終了した作業完了品については、手順書に従い、
迅速に委託薬局へ配送すること。
ウ 受託薬局から患者宅等へ薬剤を直送する場合においては、以下の点に注意すること。
・一包化された薬剤の配送を行う場合には、手順書に従い、委託薬局において患者等に薬剤を提供する場合と同等程度に当該薬剤の品質が保持された上、患者等への授与等がなされること。
・受託薬局は、一包化された薬剤の配送後、当該薬剤が確実に患者等に交付されたことを電話等により確認すること(配送業者の配送記録やアプリケーション等での受領確認、配送記録が記載されたメール等による確認を含む。)。
・受託薬局は、当該検証及び業務方法の改善等について報告書を作成すること。当該報告書については、委託薬局及び受託薬局の双方で保管すること。
⑨ 記録及びその提供
ア 受託薬局は、以下に掲げる情報について、自ら処方箋を受け付けた調剤の情報とは別に、記録(作業の際に用いた機器等により生成される記録・画像・動画、アクセスログ等を含む。)及び保管を行うこと。
・オーダー情報
・対象業務の実施に係るプロセス及び結果に関する情報
・一包化された薬剤が委託薬局から指示された内容に従って分包されていること、分包紙へ印字等がなされていることその他薬剤師による確認に関する情報
イ 受託薬局は、委託薬局又は監督官庁から求めがあった場合には、速やかにアの記録を提供すること。
⑩ 自己点検の実施
ア 受託薬局は、対象業務に係る契約等の遵守状況について確認するため、定期的な自己点検を実施すること。当該自己点検は、あらかじめ定められた責任者により、手順書に従って行うこと。
イ 受託薬局は、アの自己点検について、全ての観察された事項の記録を行った上、当該記録の写しを受託薬局開設者、責任役員その他関係者に提出すること。

また、半期ごとの報告が必要。

区域計画における事前協議では、事業を実施する背景・理由(調剤業務一部委託事業を実施する区域内にある薬局の状況等)などについても十分に説明するとした。

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