県立2病院、職員150人増 金沢・中央、かほく・こころ

職員採用の大幅増を目指す県立中央病院=金沢市内

  ●「24年問題」で窮余の策

  ●27年度までに医師4人

 石川県は来年春から2027年度末までの3年間で、県立中央病院(金沢市)と県立こころの病院(かほく市)の職員を150人程度増やす方針を固めた。高齢化の進展に伴って救急搬送や認知症などの患者が増える中、勤務医の労働時間が制限される「医師の2024年問題」が追い打ちとなり、現行の人員では対応できないと判断。病院経営の悪化と背中合わせの「窮余の一策」を打ち出した形だが、民間との人材争奪戦は厳しく、実際に確保できるかどうかは不透明だ。

 増員方針の内訳は、医師4人、看護師65人、管理栄養士15人、理学療法士13人など。手始めに、来春採用の看護職員試験の定員を例年の30人程度から68人(中央53人、こころ15人)に倍増させる。計画通りなら、2病院の職員は現在の約900人から千人超となる。

 県によると、中央病院では、診療時間外の深夜などに救急患者が運び込まれる事案が増えており、22年は3853件と18年比で4割近く増加。救急を中心に医師や看護師らにかかる負担が重くなっている。

 こころの病院は、小児やさまざまな依存症の患者が多く、専門知識を持つ公認心理師や精神保健福祉士らが不足しているという。

 県によると、救急・医療体制の維持と長時間労働の是正を両立させるには、人手を多く確保するほかない。担当者は「県民医療の最後の砦の役割を果たさなければならない。医学部生らに地域医療の重要性を地道に伝え、採用に努めるしかない」と話した。

 人員増強の方針は、県が今月下旬にも策定する両病院の4カ年経営強化プランに盛り込まれる。

 

 ★医師の2024年問題 過重労働が常態化している医師の勤務環境の改善を図る働き方改革。今年4月に適用され、勤務医の時間外労働の上限は年960時間以下、月100時間未満となり、救急医療などを行う医師や研修医など症例経験を必要とする医師は期限付き上限規制で年間1860時間以下、月100時間未満となった。

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