1月末で閉店した人気マフィン専門店「ME BAKE(エムイーベイク)」(神奈川県平塚市代官町)の元社員たちが、復活へ向け第一歩を踏み出した。現在はJR平塚駅南口の元々の製造拠点を使いプレオープン中。再生へ奮闘する統括マネジャーの長澤栞さん(26)は「皆さんに愛されたマフィンを守っていきたい」と話す。
「今日から閉店するので出社されなくて結構です」
倒産を知ったのは当日、グループLINE(ライン)で当時の経営者から届いた1通のメッセージだった。長澤さんにとって事前に廃業を感じさせるものはなく、まさに寝耳に水だった。当然、全ての店舗は閉鎖。「自分たちの働く場所もなくなるし、どうしようか」
「エムイーベイク」は2019年に創業。辻堂や東京・渋谷の店舗のほか、イベントへの出店やインターネット販売などを手がけていた。特に、マフィンながらシラスやベーコンを使った〃食事系〃の商品は男性客からも人気があった。
倒産の理由は、無理な渋谷への出店や畑違いのアパレル事業への参入とも聞いた。しかしそれで納得するわけがない。「楽しみに来てくれるお客さんと、一緒に働くスタッフを守りたい」との一心で再生を決意した長澤さんは、企業経営者の父・猛さん(54)に相談。父らの支援を受け、残った従業員約10人で再生の道を目指すことになった。