タワマン殺人 惨劇につながった〝2つの悪手〟

事件のあったタワマン敷地

東京・西新宿のタワーマンションに住む平沢俊乃さん(25)が川崎市の和久井学容疑者(51)に刺殺された事件で9日、和久井容疑者が犯行前日の夜から数時間待ち伏せしていたことが分かった。

事件は8日午前3時過ぎに発生。タワマン周辺で待ち伏せていた和久井容疑者は、コンビニから出てくる平沢さんを見つけ、「声をかけると逃げたので追いかけて襲った」と供述しているという。押収された果物ナイフは2本。平沢さんは首や腹を中心に数十か所の傷があり、執拗に襲われたとみられている。

2人は過去に平沢さんが経営するガールズバーで出会っている。和久井容疑者は「金を貸していて、返してもらうつもりだった」「経営を応援するため店で金を使ったり渡したりした。バイクや車を売って工面した」と供述している。

和久井容疑者の父親によれば、和久井容疑者は結婚を前提に多額のお金を女性に貸していたと話していたという。しかし、お金を渡すと冷たくされ、ストーカーに変貌。実際に平沢さんに付きまとったとして、2022年にストーカー規制法違反容疑で逮捕され、接近禁止となっていた。

お金を貸したとか結婚の話が出ていたというのはあくまで和久井容疑者の一方的な主張なので、慎重な取り扱いが必要だ。一方でテレ朝newsによると、和久井容疑者が川崎市内の警察署にお金が返済されないことを相談していたという。

お金が問題なら別のやり方があったはずだ。行政書士は「水商売なので色恋営業というのもありますが、たとえそうでもお金を貸すときは借用書を作成した方がいい。これがあれば返済を法的に要求できます。もし作成し損ねたら、事後に債務承認弁済契約書を作成することも可能です」と借用書の必要性を説く。

あくまで返済が目的なら自ら相手のもとに出向くのはトラブルの元だ。「借用書がなかったとしても、直接ではなく弁護士を挟むべきでした。和久井容疑者は裏切られたと思い込んで冷静ではなかったのでしょう」(同)

冷静になれば最悪の事態は避けられたはずだ。

© 株式会社東京スポーツ新聞社