「国民年金の保険料ってこんなに上がったの?」今年退職する人が驚く「自分たちが若かった頃の保険料」ってどのくらい?

30年前の国民年金の保険料はいくら?

日本年金機構による「国民年金保険料の変遷」を見てみると、30年前にあたる平成6年4月~平成7年3月までの保険料は1万1100円でした。令和6年4月現在の保険料が1万6980円なので、30年で6000円ほど上昇していることになります。そのため年間で7万2000円ほどの差が生まれており、大きな出費になっているといえます。

35年前の平成元年4月~平成2年3月の保険料は8000円でしたので、現在の保険料と比較すると2倍以上です。年金などの社会保障費が今まで以上に家計を圧迫していることは社会的な問題ですが、数値で見てみると負担の大きさがよく分かります。

国民年金の保険料が1万円の大台を超えたのは、31年前の平成5年4月~平成6年3月までの保険料で1万500円です。平成10年4月~平成17年3月までの期間は保険料の上昇がなく1万3300円のままでしたが、基本的には上昇し続けていることが分かります。

物価はどれくらい上がった?

国民年金の保険料には、物価も密接に関係しています。物価は企業間で取引される場合と、小売りの段階で消費者が介入する場合とで分けて考える場合が多いです。この2つの指数は、「企業物価指数」「消費者物価指数」と呼ばれています。

日本銀行の試算によると、昭和40年から令和5年で消費者物価指数は約4.5倍になっています。つまり、当時は1万円で購入できていたものが現在では4万5000円かかることになるのです。物価の変化は商品によっても異なるので、一概にこの計算が当てはまるわけではありませんが、物価がかなり上昇していることは明白です。

物価が上がるインフレには、良い側面と悪い側面があります。商品への需要が高まることで物価が上昇し、売れることで企業利益も増加します。この結果で期待できるのが、労働者の賃金増加ですので、この面は望ましいといえるでしょう。

しかし、原材料の高騰のように商品への需要以外で物価が上がってしまうと、売り上げや企業利益に結びつかないので労働者の賃金増加にもつながりません。結果的に消費者の収入は変わらず、物価だけが上がって生活が苦しくなってしまうマイナス面もあります。

国民年金の保険料はどうやって決まる?

国民年金の保険料は設定された保険料に、保険料改定率を乗算して求められます。前年度の保険料改定率に対し、名目賃金変動率を乗算して算出したものが保険料改定率です。名目賃金変動率は物価変動率と実質賃金変動率を乗算した結果なので、物価の変化は間接的に国民年金の保険料に関係しています。

端的にいえば、消費者の賃金や物価に応じて国民年金の保険料は変化します。保険料の増加に伴って賃金も上昇し、保険料と賃金のバランスが良好な関係であれば家計的にも問題ありません。しかし、賃金が上がらず、保険料のみが増加してしまうと支出が増えるだけになってしまいます。

物価の上昇も相まって、苦しい生活を余儀なくされてしまうでしょう。結果的に消費者の購買意欲も低下し、景気の回復がより難しくなる事態が考えられます。

30年前と比較すると、国民年金の保険料は6000円ほど上がっている

国民年金の保険料は30年前で1万1100円、現在は1万6980円なので6000円ほど上がっています。年間にすると7万2000円で大きな支出にもなります。

物価は58年で約4.5倍になっており、当時は1万円で購入できていたものが4万5000円出さないと購入できない計算です。保険料と合わせると、物価もかなり上がっていることが分かります。

国民年金の保険料には消費者の賃金や物価が深く関係しており、家計への負担を考慮すると保険料と賃金のバランスが大切です。賃金が上がらずに保険料が上がると、物価の高騰も相まって家計は苦しくなってしまいます。

出典

日本年金機構 国民年金保険料の変遷
日本銀行 日本銀行について Q 昭和40年の1万円を、今のお金に換算するとどの位になりますか?
日本年金機構 国民年金保険料の額は、どのようにして決まるのか?

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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