メキシコ大統領宮殿に住む猫たちが「生きた固定資産」として認定される 同国史上初の試み

庭園を自由に歩き回る猫たち

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ハトを追いかけて宮殿の庭園を動き回ったり、テレビの記者会見にゲスト出演したり、スタッフのアイスクリームをこっそり舐めたり…。

これらは人間の仕業ではありません。実はメキシコ国立宮殿内に住み着いた19匹もの野良猫のものです。猫たちは園内を自由に徘徊し、緑豊かな庭園や、歴史的建物内にあるホールを歩き回っています。

「猫たちは宮殿のあらゆる場所に現われて、会議やインタビューに参加したりカメラの前を歩き回ったりしますね」というのは、この宮殿の獣医Jesús Ariasさんです。

実はこのたび、Andrés Manuel López Obradorメキシコ大統領がこの猫たちを「生きた固定資産」に認定しました。この称号を獲得した動物は初めてです。

「固定資産」という言葉は通常、建物や家具などの財を示しますが、大統領は自分が2024年10月に退任したあとも財務省の手配によって猫の餌やりが続けられ、猫たちが暮らしていけるように、今回の認定を行いました。

それぞれに名前も

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「猫は現在、宮殿のシンボル的存在です。猫の存在なしにこの場所を語ることはできません。だからその世話も確実に続けていかなければならないのです」と話すのは、国立宮殿および文化遺産保護庁のAdriana Castillo Román長官です。

大統領官邸としても使用されている国立宮殿に住み着き、今大統領のそばにいるのは「Bowie」「Bellof」「Nube」「Coco」「Yema」「Ollin」「Balam」。猫たちはこの建物にすっかりなじんでいて、くつろいでいます。

大統領によると「猫が宮殿を支配しているので、公式の儀式中でも頻繁にわたしの前を横切って歩いたりします」とのことです。

ちなみに「Bowie」という茶トラ猫は、メキシコの画家Diego Riveraによる有名な壁画を見るために1997年に宮殿を訪れたロックスターのデヴィッド・ボウイにちなんで名付けられたとか。

猫たちがいつどのようにして建物に侵入し始めたのかはわかりません。現在は19匹がこの建物に住み着いていますが、どうやらそれ以外の猫たちも出入りしているようで、スタッフは「夜に宮殿の門の小さな亀裂から滑り込んでいるのでは?」と考えています。

みんなに愛される宮殿猫

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亡くなった「Zeus」という名前の猫は、大統領が朝の記者会見をしている最中に目の前を横切って参加したことで有名になりました。この猫はカメラの前に立ち、宮殿スタッフがあわてて連れ去るまで記者たちの間を歩き回っていたといいます。

「猫好きなスタッフのなかには、自宅で食べた残り物や、缶詰や米、スープを猫のために持ってくる人もいます」とAdrianaさん。

スタッフらはメキシコ国立自治大学の獣医師と協力し、すべての猫へのワクチン接種、不妊手術、マイクロチップ装着を行っています。そのうえ庭のまわりに小さな猫の家と餌場も作ったのです。Arias獣医を雇ったのも、猫たちがずっとケアされながらよりよい生活が送れるように…との思いからです。

「生きた固定資産に認定されたことを、どう思いますか?」…記者の質問にも無言の猫たち。でも「Coco」はうれしそうにしっぽを振ってくれて、Nubeだけが「ミャー」と応えてくれました(Nubeはスペイン語で「雲」の意)。宮殿の入り口で来場者にあいさつをするのがお気に入りだそうですよ。

みなさんもメキシコに行ったら、ぜひ「固定資産」となった猫たちに会ってみてくださいね。

出典:A new declaration in Mexico gives 19 cats roaming the presidential palace food and care fur-ever

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