鹿島/CO2吸収コンクリートにグレードを設定、大型PCa製品を開発

鹿島は、二酸化炭素(CO2)を吸収・固定化して製造するカーボンネガティブコンクリート「CO2-SUICOM」にグレードを設定した。コンクリート1立方メートル当たりのCO2吸収・固定量が100キロ以上となる従来のカーボンネガティブ型を「CO2-SUICOM(P)」とし、新たに100キロ未満のカーボン低減型を「CO2-SUICOM(E)」と定めた。グレードを設定したことで製品種類が飛躍的に拡充。建設市場でより広い展開が可能となる。
新たに設定したCO2-SUICOM(E)では、コンクリートがCO2を吸収する範囲(炭酸化深さ)が炭酸化養生の時間とともに大きくなるものの、CO2を吸収する速度は初期が速く、徐々に遅くなっていく。CO2吸収の最も効率の良い養生時間を算定することで、CO2吸収量と生産コストのバランスの取れたカーボン低減型となる。
CO2-SUICOM(E)を使った大型プレキャスト(PCa)コンクリート製品(大型ブロック擁壁)も開発した。サイズは幅2メートル×高さ1メートル×厚さ0・35メートル。CO2を吸収・固定しCO2排出量の削減に貢献でき、CO2削減量とコストのバランスの取れた材料設計を採用した。
大型ブロック擁壁では製品1個当たり、セメント材料の置換により約64キロのCO2削減となり、断面の約40%が炭酸化したことでCO2吸収・固定量は約8キロ。現行の製品に比べて合計約72キロのCO2削減を実現した。価格は従来に比べ33%抑えられると試算した。
大型PCa製品の製造性を実証するため、PCa製品メーカーであるケイコン(京都市伏見区、荒川崇社長)の協力を得て、大型ブロック擁壁にCO2-SUICOM(E)を採用した製造実験を実施。製造工程と品質を検証した結果、量産が可能であることを確認した。
今後、CO2-SUICOM(E)を用いた大型PCa製品を実際の工事に導入する計画。複数のPCaコンクリート製品メーカーと連携して新しいPCa製品を開発し、CO2-SUICOMの全国展開を本格的に進めていく。

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