埼玉県/ASP情報共有システム対象拡大、遠隔臨場の協議での利用も可能に

埼玉県は2024年度、DX推進に向けた動きを加速させる。4月1日以降の公告案件から情報共有システム(ASP)の適用対象を全土木工事に広げ、成果品をSDカードや県庁ファイル便で提出できるようにした。遠隔臨場は発注者指定型で実施。ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」などの活用も可能にした。DXをより拡大させるため、勉強会などの取り組みにさらに力を入れる。
県はASPを22年度まで予定価格6000万円以上の土木工事に適用してきたが、23年度から同3000万以上へと要件を緩和。4月1日には県土整備部と都市整備部が発注する原則全ての案件(営繕を除く)に対象を広げた。県土整備部建設管理課によると、県内市町村と意見交換を重ねた結果とし、「発注金額を高額にできない自治体にもASPを広めるための対応」としている。
施工計画書や出来形報告書など、新たに11種類の書類のASP対応を原則化。成果品をSDカードや県庁ファイル便で提出してもらう。SDカードの採用について同課担当者は「各団体から意見を聴取し、データの読み込みが早い点を評価した」と説明。今後は「どのようにさまざまな業者に使ってもらうかが課題」とし、造園業など小規模案件が多い業界ともASPに関する勉強会を開きたいという。
県幹部によると、大野元裕知事は「ASPを積極的に拡大し、県と国で関係書類の書式を統一すべき」という持論を持つという。県は23年度から書式統一の検討を進めている。
県は土木工事現場のDXにも取り組む。予定価格6000万円以上の工事や、遠隔臨場の効果が見込める工事は、遠隔臨場を発注者指定型で行う。立ち会いや現場確認だけでなく、打ち合わせでも遠隔臨場を使えるようにした。
ASPのオプション機能としての遠隔臨場や、Zoomなど身近なツールも利用可能になっている。「サポート臨場」として若手社員が現場に赴き、ベテラン社員が事務所から遠隔で指示するような使い方も想定している。
今後は業界団体との勉強会などに注力するとともに、県職員向け研修も充実していく。県職員向け研修は市町村職員も参加できるようにし、夏前と秋の2回開きたい考えだ。

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