フィーバーはどこまで続くか──。
金の価格は当分、高値圏での取引が続きそうだ。今年の2月下旬以降、史上最高値を相次いで更新しており、中東情勢の緊迫化や、中国の買いが相場を押し上げたことが背景にある。8日時点で、田中貴金属工業の金の店頭小売価格は1グラム1万2739円(税込み)。昨年8月に史上初めて1万円を突破し、さらに上昇を続けている。
金相場高騰の実態は、ゴールデンウイークに大勢の人でにぎわった静岡県伊豆市の観光地でもわかる。
「土肥金山」の目玉は、施設内に展示されている世界一巨大な250キロの金塊だ。2005年の製造当時は4億円だったというが、8日時点での時価は31億円。8倍近くになっている。
そんな中、金とともに順調に価格が上昇しているのが、銀だ。田中貴金属工業の銀の参考小売価格は、19年4月に1グラム57.46円だったが、以降、上昇基調で、今年4月には137.80円と、5年間で倍以上になった(どちらも税抜き)。
金の投資で出遅れた人は、銀などの貴金属なら一儲けのチャンスはあるのだろうか。投資助言会社エフピーネットの松島修代表は「はっきり申し上げると、銀はオススメできません」と、こう続ける。
「そもそも、金と比べると価値がずっと低い。投機の対象にもなりやすく、高騰や急落することがありハイリスクです。現在の高値も一時的な傾向の可能性があり、価格が上がっているからといって、手を出すのは危険です」
■それでも買うなら…
同じくプラチナも、金と比べると価値が低く(8日時点で1グラム5441円)、一般人の投資には向かないようだ。
やはり、買うなら金らしい。松島修氏は「まだまだチャンスはある」と、こう分析する。
「近年はドルの地位が低下し、基軸通貨の座を争う通貨戦争が加速している。そうした中、安全資産を求めて中央銀行間で金の争奪戦が過熱すれば、より金価格が跳ね上がる可能性がある。また、中国の経済が陰りを見せ、不動産につぎ込まれていたお金がダブついている。その資金が金を買う方向に行けば、まだまだ金価格は上昇するでしょう」
とはいえ、ここまで金が高騰してしまうとやや手を出しづらい……。