米バイデン大統領が主張「日本経済が低調なのは“外国人嫌い”だから」のお門違い(中西文行)

コロンビア大学でのデモ(C)ロイター

全米各地の大学で、パレスチナ自治区ガザ地区への連帯を示す抗議行動が起きている。

中心的存在のコロンビア大学をはじめ、今月2日にメキシコのメキシコ国立自治大学でデモが行われた。3日にはフランスの名門大学、パリ政治学院ではイスラエルによる軍事行動に抗議した学生らを警察が排除。同学院はこの日閉鎖され、キャンパス内は厳重な警備が敷かれた。

イスラエル軍のラファ進軍となれば、学生たちの抗議運動が一段と拡散する可能性がある。

一方、日本の大学生は国際情勢に無関心のようで抗議運動を起こしていない。半世紀前にはやった「三無主義」の若者が親となり、その子供の子供が大学生となったのだから何も起きないのも自然か。死語になったような「三無主義」は無気力・無関心・無責任をさした言葉だ。

バイデン米大統領は1日に行われた資金調達イベントで、同盟国・日本とインドを競争相手の中国とロシアと並べて、日本経済が低調なのは「外国人嫌い」で移民を拒否しているからだと主張した。

■円安は追い風だが…

日本は移民・難民の受け入れには消極的だが、「国益」に合致する外国人技能実習生は増え、訪日外国人も歓迎している。GW中の3日の昼下がり、東京・上野のアメ横では、中国は労働節の連休(5月1~5日)にあたり訪日客が多かったせいか、中国語が飛び交っていた。日本の成長戦略「観光立国」に「円安」はプラスだ。

三越伊勢丹ホールディングスなど大手百貨店3社の4月の既存店売上高(速報)は、前年同月比で軒並み大幅プラス。訪日外国人は円安効果で母国より割安と見て高級ブランド品を購入し、売上高を押し上げた。伸び率は高島屋が16.3%、大丸松坂屋百貨店が13.5%、三越伊勢丹が11.3%。訪日客の購入額を示す免税売上高はいずれも3倍超で単月の過去最高を更新した。5月もこの勢いが続くだろう。

1989年、バブル経済が崩壊。90年の為替相場は1ドル=160円だったが、95年に79円まで円高は進行した。2007年から11年にかけては124円から75円まで進み、「円高不況」といわれた。いまは「円安」阻止と時代は変化した。

円安は、大企業にとっては海外子会社から、個人投資家にとっては外債などからの配当金や利息が円転で増加する。経済にプラスだ。「円安」阻止の為替介入とは理解に苦しむ。

政府が6月に策定する「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2024」に25年度以降の中期的な経済・財政の枠組み(次期計画)を盛り込むと見込まれている。これは、解散総選挙となれば自民党のマニフェストともなろう。「骨太方針」は、移民や為替を意識した内容になるだろうか。

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