大谷翔平のパンツめぐり荒唐無稽な“陰謀論”…前後逆にはくのは「メッセージ」と信じる人々

陰謀論を生んだダボタボパンツ姿(AP=共同)

米連邦検察は日本時間5月9日、ドジャース大谷翔平(29)の通訳を務めていた水原一平容疑者(39)が銀行詐欺と虚偽の納税申告の罪を認めたため、検察との司法取引が成立したと発表した。今後、水原容疑者は同15日に罪状認否のためカリフォルニア州の連邦地裁に出廷する。大事件の裁判が粛々と進んでいるが、その裏で大谷に関する荒唐無稽な陰謀論が拡散しているのをご存じか。

大谷は同3日(現地時間2日)、ドジャースの本拠地で開催されたチャリティーイベントに妻の真美子さん(27)とともに登場。本人はビッグサイズのスーツ姿だったが、その際の「着こなしぶり」がネット掲示板で話題になっていた。

話題の焦点は、大谷がはくパンツがダボダボで、まるで前後逆にはいているかのように見えること。ネット掲示板では《逆に穿いてる説が浮上》《さすがに間違わないだろ》などの書き込みが相次ぎ、単なる真偽不明の笑い話として面白がられていたが、これがSNSに飛び火すると、やや違う受け止め方をする者が現れたのだ。

SNS投稿の大意はこうだ。大谷がパンツを前後逆にはいているように見えるのは実際にそのようにはいているからで、しかもそこには「特別な意味」があるという。加えて、大谷がそのようにパンツをはいているのは何らか“陰の存在”が本人にメッセージを発するよう指示した結果であるとも。

結論として、《世界がまもなく大きく変わるということを示しています》といった、何者かが発した「予告」であるという「説」を開陳しているのだ。ひと言でいえば「陰謀論」の類である。ひどいものになると、大谷のみならず各国の首脳が時折、パンツを前後逆にはき、それらもまた何らかのメッセージであると指摘する投稿もあるほどだ。

■「アイコン的に使える人物」なら、素性が明らかでも陰謀論の対象に

大谷翔平といえば、今や日本のみならず全米の誰もが知るメジャーリーガー。そんな存在や素性が明らかな人物がわざわざ陰謀論の対象にされてしまうのはなぜなのか。ITジャーナリストの井上トシユキ氏は、素性が明らかな人物であっても大谷のように人々の注目を集める人物であれば簡単に陰謀論のネタにしてしまうのは、陰謀論好きの一部ネットユーザーの「習性」だと明かす。

「ひと言でいえば『偶像』、つまり、『アイコン的に使える人物』であれば、たとえ素性が明らかな方であっても陰謀論のネタとして祭り上げられてしまいます。加えて、渦中の水原一平容疑者が抱える疑惑の数々といった“変数”の多さも、憶測を呼びやすい状況を作り出しているのでしょう」(井上氏)

SNSには今回の「パンツ逆疑惑」が噴出する以前から、大谷はすでに別人物と入れ替わっており、最近の姿は本人のものではないという妄想まで散見される。このような「入れ替わり説」についても井上氏は「悪乗りが過ぎるケース」としつつ、「ネット掲示板で騒ぎ足りないユーザーがSNSに遠征して陰謀論をまき散らしていると考えられる」と分析した。

大谷にとっては迷惑でしかない話題だが、本人の耳に入っていないことを祈るばかりである。

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