スターダム・岩谷麻優の自伝映画 袂を分かった創設者、レスラーの〝登場〟岡田社長の所感とは

IWGP女子王者、スターダム・岩谷麻優の自伝を原案とした映画「家出レスラー」(5月17日公開、ヨリコジュン監督)の完成披露舞台あいさつが9日、都内で行われ、同映画撮影時のプロデューサーで、現在はスターダム社長を務める岡田太郎氏が登壇。スターダムを離れたレスラー、関係者をモチーフとする役柄が多く登場することについての考えを明かした。

岩谷麻優をモチーフとした、引きこもりでポンコツだったマユ(演・平井杏奈)を主人公に、スターダム同期の理解者である東子(演・ゆきぽよ)、団体GMの流香(演・向後桃)、創設者のグッシー(演・竹中直人)らが物語を彩る。マユのライバル羅月を演じた朱里は、プロレス指導役も務め、平井、ゆきぽよらによる迫力のプロレスシーン実現に一役買った。

グッシーのモチーフは、今年2月にスターダムのエグゼクティブプロデューサーを契約解除され、今月20日に旗揚げ戦が行われるマリーゴールドを創設したロッシー小川氏であることは明らか。同様に流香はマリーゴールドアシスタントプロデューサーに就任した風香、他のレスラーたちもファンはモチーフとなった選手名を容易に思いつくだろう。

岡田氏は後楽園ホールで行われた試合シーンの撮影では、プロデューサーとしてエキストラのファンと交流。昨年12月に新社長就任後は、小川氏の契約解除、所属選手の退団などに直面した。「エキストラだったファンの方には、あの時仕切っていた人が社長になったんですね、とよく声をかけられます」と照れくさそうに語った。

岩谷の自伝本を「原案」とし、一定の演出・配慮が行われている。この点について、岡田氏は「事件、事象は岩谷選手の本に出ていますが、その真実や裏側はいろいろな人の見方があります。これを岩谷さんから見て、人生にどのような影響を与えたかに絞って表現したかった。ですから、ある事件と事件を足したり、出演レスラーもあるレスラーとレスラーを足したりと、岩谷さんの人生に影響を与えた部分を抽出することに気をつけました」と語った。

ただ撮影時とは状況が変わり、小川氏ら現団体との関係が切れた人物がモチーフとして登場することも事実。岡田氏は「プロレスを見ている方だったらスターダムに起こった最近のことはご存知かと思います」と切り出し、「全てはつながっている。レスラーはどんな選択をしても、その選択をどう人生に結びつけるかも自由。映画ではフィクション、現実に起こったこともあります。今作では岩谷さんの半生が表現されましたが、周りのレスラーにもそれぞれの人生、ストーリーがあるので、気になった方はそれぞれのレスラーを追いかければ、魅力はつながります。映画の魅力、スターダムの魅力、プロレスの魅力はイコールであることを伝えたいですし、それを感じ取っていただきたいと思っております」と説明した。作品に登場するレスラー、関係者、そしてプロレスファン、映画鑑賞者。関わる全ての者が、時間を超えて人生の一部を共有していくような、プロレスの奥深さを語っているように感じた。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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