和白のキーポイントは”刻む勇気” 激闘から一年…リベンジ期す女王に期待【大西翔太のSHOWTIME】

昨年、2季連続“女王”の座を獲った山下美夢有。和白で昨年のリベンジにも期待がかかる(撮影:米山聡明)

国内女子ツアー11戦目となる「RKB×三井松島レディス」が10日に開幕した。舞台は名門・福岡カンツリー倶楽部 和白コース。青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める大西翔太氏がトーナメント会場から、注目ポイントを紹介する。

■コース攻略のカギは”刻む勇気”

アップダウンの激しいコース攻略のカギについて、大西氏は”刻み”だと話す。「距離はそこまで長くないけど、OBがすぐそばにあって、ちょっと曲げると木がすり出ていて狙いづらい。フェアウェイセンターに落とせるかというのが大事なポイントで、そのショットも刻む勇気も必要になってきます。なんでもかんでもドライバーでいくと痛い目にあう。距離がない分、一日ハマったりするとビッグスコアが出たりするんですが、やっぱり攻め続けるとどうしても痛い目に会うというか、大体2日目、3日目はオーバーになる選手が多い。なのであらかじめ”決まり事”を作った方が良い。飛ばし屋が優利なコースではないです」。

さらにこのコースは風のジャッジも難しいという。「風が結構吹きやすいです。毎年7~8メートルくらいの風が吹くし、逆風が吹くこともある。なので間とタイミングがすごく大事。『ちょっと違うな』と思ったら仕切り直すくらいいの気持ちでやった方がうまくいく」。刻む勇気に、仕切り直す勇気も重要になってきそうだ。

■V候補筆頭は山下美夢有か

昨年は、岩井ツインズと山下美夢有を加えた3人で、“史上初の双子プレーオフ”が実現した。姉妹で直ドラ対決を演じ、ツインズの妹・千怜(ちさと)が大会を制した激闘から一年、大西氏にあの展開はどう映ったのか。

「左足上がりの打ちやすいロケーションで、芝で気持ちティアップされているようなライだった。ただ、そういったパフォーマンスでギャラリーさんたちをよろこばすのはすごい。エンターテイナーだと思います」

そして今年、活躍しそうな選手としてまず、昨年惜敗した山下の名前を挙げる。「技術的、精神的にも状態はいいと思うし、もうそろそろ優勝する準備ができているんじゃないかな」と評価。では具体的にどこの状態が良いのか? 「細かく言うと(スイング時の)4時、8時くらいの動きがすごく静かになってきました。もうピンをデッドに狙っていけるし、曲がらない状態が作られている」。いわゆる“ビジネスゾーン”の動きが格段に良くなっているという。

また、2戦目の「明治安田レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメント」を制し、かつて大会2連覇を成し遂げている鈴木愛もおもしろい存在のひとりだ。同大会の舞台となった土佐カントリークラブは、和白コースと同じく距離は長くなく、アップダウンのあるコースというところで、鈴木有利と見る。さらに「技術が整っているのは当たり前ですが、精神状態もいいところにあると思う。練習の取り組みを見ていても燃えてますよ」と、いい雰囲気を感じ取ることができる。

最後に、昨年大会のプレーオフで敗れた岩井明愛(あきえ)の名前も。「自然と上位に来るんじゃないかと思います。ショットの調子がだいぶ良さそう。やっぱり海外に行って『いろんなものを吸収してきた』って本人も言っていましたし、そういうのがパフォーマンス一つ一つに発揮されていそうですね」。今季は米国、欧州ツアーにも参戦し、そこで得た収穫が、明愛の成長曲線を加速させているのかもしれない。

解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。

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